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ボケとツッコミ 困らせて困らせて引き出す面白さ 欽ちゃんに後継指名された小倉久寛氏 話の肖像画 喜劇役者、劇団SET主宰・三宅裕司(73)<29>

産経ニュース / 2025年1月30日 10時0分

平成30年ごろ

《20代で同じ舞台に出演して以来の盟友、小倉久寛氏への思いは尽きない》

僕が投げかけたセリフに、小倉君は困れば困るほど必死に何かを出そうとする。それで、ボケとツッコミになるわけです。

昔、コント55号では、萩本欽一さんが相方の坂上二郎さんに「こういう設定だから」とだけ説明して、全く台本なしでステージに出ていったそうです。

《コント55号は昭和41年、萩本氏(欽ちゃん)と坂上氏(二郎さん)が結成したコンビ。舞台上を駆け回るスタイルと、「飛びます、飛びます」といったギャグや軽快なアクションで人気を博し、空前のブームを生んだ。51年に事実上、コンビは解消。坂上氏は平成23年死去。享年76》

欽ちゃんが、二郎さんの困ることをどんどん言っていく。それに二郎さんが必死で応える姿がおかしかったわけです。

二郎さんが亡くなったあと、欽ちゃんが代わりに選んだのは小倉君ですから。それだけのものがあると見込まれたんです。

小倉君にいつも言うんです。

「欽ちゃんと三宅裕司、どっちの方がやりやすいんだ」

彼は絶対に答えないんですよ。

逆に言うと小倉君を困らせて困らせて、何かを引き出すというのはある意味、コンビのうまさというか、妙味の一つではないかと思います。

《令和5年のスーパー・エキセントリック・シアター(SET)の公演「ラスト★アクションヒーロー」では、町長役の三宅氏と巡査役の小倉氏の2人が長い付き合いという想定のもとで、過去の「悪事」を互いに暴露し合うシーンがあった。若いころ、東京・神保町の中華料理店に深夜に2人で一銭も持たずに入ったら、三宅氏が「家に帰って財布を取ってくる」と言って出ていき、そのまま戻ってこなかったと、小倉氏が文句を言って―》

役柄とは全く違う内容のセリフなので、お客さんは「たぶん本当にあったことなんだろう。けれど、どこまでアドリブなのかな」と思ったでしょうね。

これはちゃんと台本になっているんです。最初に台本を書いていて面白くなかったので、全部書き直しました。

長い付き合いだから書けたんですよ。いろいろと面白いことをやらかしてきているので、小倉君があれを暴露するなら、俺はこれを言ってやろうみたいな感じでね。

ちなみにそのときに現場だった神保町の中華料理店はまだあります。ただ、午後11時ぐらいまでしか営業していないみたいですが。

《伊東四朗一座、熱海五郎一座でも、きちんと書かれた台本の演出をする三宅氏のスタイルは変わらない》

一座は僕と小倉君のほか、渡辺正行さん、ラサール石井さん、春風亭昇太さん、東貴博さん、深沢邦之さんがレギュラー出演です。

最初のころは、みんな笑いのプロとしての笑わせ方があるから、それをつなぐ演出をしていました。でも、中には私の追求する笑いとは違うものもあって、お客さんのためにも、今では笑わせ方を統一して、僕が求める方向でやってもらっています。

《ツッコミがボケることもある》

ボケがボケたのをツッコむのは普通の形ですが、僕が昔からよくやったのは「ボケツッコミ」。小倉君がボケて、それをツッコむんですが、的外れなツッコミをわざとして笑いをいただき、それに困っている小倉君をお客さんと一緒に面白がる。直球のサインなのにフォークボールを投げちゃうピッチャーみたいにね―。(聞き手 慶田久幸)

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