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茨城の予科練記念館で10日に朗読劇、特攻隊員と猫の物語など 敷島隊出撃から80年

産経ニュース / 2024年8月7日 12時32分

本番前のリハーサルに臨む須永康男さん(右)と朗読担当の鈴木敏子さん=阿見町廻戸(三浦馨撮影)

茨城県阿見町の予科練平和祈念館で10日、戦争の体験や記憶を語り継ぐための朗読劇が上演される。実話をもとにした「ぼくモグラになった予科練」と、創作の「特攻基地の三毛猫」の2作で、子供から高齢者まで幅広い年齢層を対象としている。今年は特攻隊の初出撃から80年の節目に当たり、同館は「特攻隊員に大勢の予科練出身者がいたことも知ってほしい」と呼びかけている。

海岸で自らが潜む穴を掘らされる

「ぼくモグラになった-」は、予科練出身で記念館の〝語り部〟として長く活動した戸張礼記さん(昨年8月、94歳で死去)の実体験を同館歴史調査委員の須永康男さん(76)が聞き取り、まとめた。戦争末期、土浦海軍航空隊の予科練では飛行訓練が突然中止され、戸張さんらは軍用列車で青森県に運ばれた。

三沢海軍航空隊で特攻機を格納する掩体壕を作らされたあとは、下北半島の海岸線へ移動。モグラのように自分たちが潜む穴を掘らされた。旧ソ連軍が本土へ上陸した場合、〝棒地雷〟と呼ばれる兵器を抱えて飛び出し、敵の戦車に体当たりするためだった。

戸張さんは戦後、故郷の阿見町へ復員し、中学などで教職に就く。物語では、予科練時代の体験を若い世代にようやく語り出すまでの葛藤も描かれる。

「母ちゃん」と呼ばれた猫

「-三毛猫」は昭和19年10月、海軍初の神風特別攻撃隊「敷島隊」が出撃してから80年を迎えることから須永さんが創作した。敷島隊の関行男隊長は23歳、隊員4人は19~20歳で、うち2人は土浦の予科練出身だったという。

物語では土浦の予科練を出た航空兵、京介(19)が特攻隊員に選ばれ、配属された鹿児島県の鹿屋海軍航空基地で飼われている三毛猫と出合う。

三毛猫は基地のアイドル的存在で隊員らの膝の上でくつろぎ、特攻隊の出発時には滑走路で離陸を見送ることも。いつしか〝母(かあ)ちゃん〟の愛称で呼ばれることになった。

物語は出撃の日を迎えた京介と、母ちゃんとのやり取りがクライマックスとなる。須永さんは「特攻隊員と三毛猫。2つの命を絡めることで平和の大切さ、戦争の悲惨さを考えてほしかった」と話す。

朗読を担当する鈴木敏子さん(71)は語り部だった戸張さんの中学での教え子でもあり、「モグラの話を知り、『そんな予科練生もいたんだ』と衝撃的だった」と語る。2つの作品について「聞く人によって思い浮かべる状況も違う。それぞれの心で受け止めてくれれば」と望む。

朗読劇は午後2時からで上演時間は2作合わせて約50分の予定。入場無料で予約は不要。問い合わせは同館(029・891・3344)。

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