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万博紙チケット巡り、協会と大阪府市に溝 安全対策と収益確保の両立に腐心

産経ニュース / 2024年8月22日 7時0分

工事が進む夢洲の万博会場=21日午後、大阪市此花区(本社ヘリから、彦野公太朗撮影)

2025年大阪・関西万博で10月から販売する予約不要の紙チケットの利用を巡り、運営する日本国際博覧会協会(万博協会)と大阪府市の間で溝が生じている。雑踏事故などを防ぐため、利用不可の「除外日」を事前に幅広く設けたい万博協会に対し、販売促進や分かりやすさを重視する府市は紙チケットの積極活用を主張。安全対策と収益確保の両立に向けた調整が続く。

「除外日」設定で相違

「これでは会期の半分以上が入場できない。除外日をいま決める必要があるのか」

万博協会副会長を務める大阪府の吉村洋文知事は7月下旬、記者団の取材に対し、協会が示した予約不要の紙チケットの利用ルール案への疑問を呈した。

紙チケットは10月から旅行会社やコンビニなどで販売され、一部は入場予約を不要とする。協会は7月に開かれた来場者輸送に関する会議で、協会と府市の双方の利用ルール案を交通事業者などに示した。

通勤時間帯や開場直後の混雑を見越し、午前11時以降に入場可能とする点は一致する。異なるのは、除外日の考え方だ。

協会は、開幕直後の来年4~5月の大型連休中や、駆け込み需要が見込まれる8月の盆以降などを除外日として提案。一方、府市側は入場日時の予約状況を踏まえ、混雑予想日以外はいつでも利用できるようにすべきだと求めている。協会関係者は「本来は協会と府市の合意案を会議で示すべきだが、調整がつかず、両案を出さざるを得なかった」と明かす。

雑踏事故や列車遅延の恐れ

協会が避けたいのは、来場者が会場ゲート前に殺到したり、会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅まで延伸する大阪メトロ中央線が混雑したりする状況だ。昨年11月から販売している電子チケットは混雑を回避するため全て予約制としたが、予約なしの来場は制御しにくく、特定の日時に集中すれば効果は低減する。

予約不要の紙チケットは入場ゲート近くで2次元コード付きチケットと引き換える必要がある。ゲートでは手荷物検査も行う予定で、来場者の列が夢洲駅まで伸びれば、構内での雑踏事故や列車の遅延につながりかねない。府市は紙チケット販売後、除外日を万博の公式サイトなどで周知するとしているが、購入者が確認せずに来場し、入場できないケースも想定される。

こうした事情を考慮し、万博協会は予約不要の紙チケットを購入した場合も入場日時の予約を推奨している。

協会は9月中旬の理事会での決着を目指す。石毛博行事務総長は「自由に来てくださいとしていて、やはり入れないとなると運営が厳しくなる」と指摘。府市との協議で合意点を見いだす考えを示した。

「未然に混乱防ぐ工夫を」

龍谷大の石原凌河准教授(地域防災)は「除外日を設けるなら、購入者が(万博会場となる人工島の)夢洲に入る前に周知を徹底しないと、知らずに訪れた来場者のクレームに対応することになり、他の来場者の滞留につながる」と指摘。除外日の情報発信については公式サイトだけでなく、大阪メトロ中央線の各駅や車内でアナウンスするほか、主要駅に紙チケットの引き換え窓口を設けて伝えるなどの方法を挙げ「島内での混乱を未然に防ぐ工夫をすべきだ」と強調した。(山本考志)

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