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ミャクミャク像「特例」にした大阪市ジレンマ 万博屋外広告と御堂筋の景観保全のはざまで

産経ニュース / 2024年6月24日 15時0分

大阪市役所前のミャクミャク像は御堂筋で異質な存在感を放っている=14日午前、同市北区(須谷友郁撮影)

2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」の像を設置した大阪市がジレンマを抱えている。設置場所の御堂筋沿いでは奇抜な屋外広告を規制する基準を設けているが、市は機運醸成のため、閉幕までの期間限定で万博の屋外広告に基準を適用しない方針を策定。像だけでなく民間の申請も同様に認めるとしているが、御堂筋の景観維持もあり、事業者には周知していないのが実情だ。

「重点届出区域」で規制

大阪市北区の御堂筋沿いは市役所やオフィスビルが立ち並び、落ち着いた雰囲気が漂う。景観保全を目的に屋外広告を規制しているためだ。

御堂筋のうち、北区のJR大阪駅前-土佐堀通(中央区)と、同区の長堀通-南海難波駅前の両区間(いずれも1キロ余)は、市景観計画の「重点届出区域」。屋外広告を出す際は条例に基づき、市との事前協議で基準をクリアし、内容次第で市長の許可を得る必要がある。

同計画で定める重点届出区域の屋外広告基準は、人物やキャラクターの意匠は使わない▽地色は壁面と同系色にする▽高彩度(鮮やかな色)の利用を抑える-など。昨年12月に設置され、赤と青のビビッドな色調で遠くからでも目立つミャクミャク像(高さ2・5メートル、幅4メートル)は本来適合しない。

市によると、設置前の令和4年12月、オールジャパンで万博の機運を醸成するという公共性を踏まえ、万博の屋外広告については基準を緩和し、キャラクターの意匠使用や高彩度の利用を認める方針を決めた。市長が副会長を務める日本国際博覧会協会が機運醸成を推進する立場のため、市長許可も不要と判断。市計画調整局長が「特例」として像の設置を認めた。

一部事業者に不満くすぶる

市内の広告掲出会社の代表を務める男性は、御堂筋沿いの屋外広告について「民間業者は厳格なルールの下で手続きしている」と話し、「突然、派手な像が設置されて驚いた」。像は機運醸成に寄与すると受け止めつつも「事前に(基準を適用しない方針を)業界団体に説明し、設置への理解を求めるべきだったのでは」と不満をにじませた。

これに対して、市計画調整局の担当者は「万博は国家事業で公共性が高い。民間業者でも、万博に関する広告物は特例的に認める」と説明する。

大阪府市が5年12月に実施した意識調査で、万博の来場意向度は33・8%。前年同時期の調査結果に比べて7・4ポイント減少した。府市は今年9~11月と、開幕直前から直後にかけての来年3~5月を機運醸成のためのPR重点期間としている。

ただ、市は屋外広告の特例方針を積極的に広報しているわけではない。「機運醸成も当然大事だが(市景観計画の)重点届出区域の景観も守りたい」というのが本音で、両立に向けて難しいかじ取りを求められそうだ。(石橋明日佳)

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