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渋谷で「路上飲酒禁止」条例成立 爆音の音楽、ごみ放置…迷惑行為抑止へ前進

産経ニュース / 2024年7月4日 20時0分

10月から路上飲酒を通年禁止する東京都渋谷区。迷惑行為は後を絶たない=6月7日(桐原正道撮影)

観光客や若者でにぎわう東京・渋谷で、路上飲酒が横行し、問題となっている。空き缶のポイ捨てや騒音などの迷惑行為は後を絶たない。区はこれまでハロウィンと年末年始に限っていた路上飲酒の禁止期間を今年10月から通年とし、対象エリアを拡大する条例を制定。マナー向上を呼びかけている商店街の関係者らは「年々マナーが悪化している」と怒りを募らせている。

カオス化する深夜

「日本は路上飲酒に寛容だとは感じていたが、これほどとは…」

日が落ちても蒸した熱気が漂う6月の週末。深夜の渋谷・センター街を歩く韓国人男性は、啞然(あぜん)とした様子だった。

午後10時過ぎ、コンビニ前には、外国人の人だかりができていた。路上に置かれたスピーカーから爆音で音楽が流れ、片手に酒の缶を持った外国人たちが「フォー」などと声を上げながら踊る。周囲の人も参加し、路地にはまるでクラブのような雰囲気が醸成されていく。

区の防犯パトロール隊が周囲を巡回し、「ごみを片付けてください」などと注意するが、聞く耳を持つ様子はない。時折、タクシーなどが通れずクラクションの音が聞こえる。群衆はなかなかよけない。狂乱の夜はこの日も深まっていった。

ごみの多さも目につく。混乱の少ない夕方から、少しずつ増え、コンビニのごみ箱や、建物の外に置かれた飲食店用のごみ箱が、酒の空き缶で埋め尽くされた。やがて建物の隙間や裏など、ごみを置く場所以外にも放置されていった。

コンビニ前で飲んでいた日本人女性2人組は、「路上飲酒そのものがダメだとは思わないが、せめてマナーを守って飲んでほしい」とため息をついた。

環境改善なるか

スクランブル交差点の風景など、渋谷はもともと外国人に人気のスポットではあったが、近年は路上飲酒が交流サイト(SNS)を通じて話題を呼んでいる。

インスタグラムなどのアカウント「SHIBUYA(シブヤ) MELTDOWN(メルトダウン)」では、渋谷駅周辺で酔いつぶれる人の写真や動画を多数アップ。海外では路上飲酒を厳しく取り締まる国も多く、外国人観光客からすれば、渋谷は「非日常」を楽しめる場となっているようだ。

こうした現状を受け、区は6月、渋谷駅周辺の広いエリアで終日、路上飲酒を禁止する条例を制定した。今年10月から施行され、午後6時から翌午前5時までの間、警備員らがパトロールに当たる。違反した場合の罰則は設けていない。区安全対策課の担当者は条例の制定で、「迷惑行為だけでなく、置引などの犯罪も減らせると思う」と期待を寄せた。

「断固として取り締まりたい」。渋谷センター商店街振興組合の鈴木達治理事長は、こう憤りをあらわにする。昨年9月から防犯パトロール隊の巡回時間を深夜まで延長するなど警戒を強めている。

「これまではパトロールをしていても、路上飲酒を禁止する根拠はなかった」と、鈴木理事長は振り返る。問題の解決には時間がかかりそうだが、「条例ができたことで、強制力を持ってダメだといえるようになることは一歩前進」と評価している。

路上飲酒が行われているのは渋谷だけではないが、自治体の対応はまちまちで、路上飲酒の深刻さと地元の受け止めには大きな地域差があるようだ。

東京都新宿区は6月、歌舞伎町周辺で10月31日夕方から翌11月1日早朝の「ハロウィン」に限定して、路上飲酒を禁止する条例を制定した。

新宿区によると、昨年のハロウィンでは、渋谷区が路上飲酒の禁止を導入したほか、渋谷に来ないよう呼びかけを行った結果、歌舞伎町に多くの若者が流入。ごみが路上に放置されるなど新たな問題が生じたという。区の担当者は「飲酒による迷惑行為や事故を起こさず、ハロウィンを終えたい」と話す。

上野や浅草といった観光地を抱える台東区の担当者は、上野公園で夜間に飲酒している人はいるものの、「迷惑行為に関する苦情はない」と説明する。

中華街やみなとみらいのある横浜市も、「新宿や渋谷のような状況には至っていない」としており、いずれも条例などで規制を強化する動きはないという。(宮崎秀太)

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