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スノーシューで白銀の世界へ 信州の魅力を再発見できるガイドと歩く冬のツアー 味・旅・遊

産経ニュース / 2025年1月12日 9時0分

冬の信州はスキーやスノーボードができるだけではない。雪の森をスノーシューを履いて歩くと、夏とはまったく異なる景色や美しさが見えてくる。長野県信濃町を拠点にアウトドアツアーを催行している「しなのディスカバリー」の西田幸平代表(45)に、スノーシューツアーでこそ体験できる信州の自然を教えてもらった。

同社の冬の人気ツアーのひとつが信濃町に隣接する長野市の戸隠神社奥社の森を歩くスノーシューハイキング。約2キロある参道の南北に広大な森があり、戸隠絶景ポイントを歩いて巡るコースだ。

ルートは標高約1200メートル。1、2月の朝は氷点下10度まで下がる。奥社への参道は根雪になり凍結。ハイキングは参道入り口の駐車場からスノーシューを履いて歩き始める。

スノーシューは、靴底に短いスキー板のようなものを付けて雪に沈まないようにする道具。スパイクがあり、かかとも上がるので、ふかふかの深い雪の上でも歩くことができる。

ミズナラ大王

奥社参道から外れると、そこには白銀の世界が広がる。夏は広葉樹の葉で遮られる日光が地上に届き、雪がキラキラ光る。

しばらく歩くと、高さ30メートルはありそうな大きな木が現れる。地元で「ミズナラ大王」と呼ばれているミズナラの巨木だ。

「樹齢は300年程度と言われています。夏場は背丈ほどの藪が生い茂り地面を覆っているため、積雪期しか近づけません」と西田さん。

木の上に別の木が育つヤドリギや、動物の顔のように見えるサワグルミの葉痕、ツキノワグマが木を登るときにつけた爪痕も。葉が落ちた冬だからこそ発見できる自然だ。

参道南側の森を抜けていくと雪原が現れる。実は原っぱではなく戸隠の絶景ポイントのひとつ「鏡池」。西田さんによれば「例年1月上旬から2月中旬ごろまで、凍った池の上を歩けるようになります」という。

夏場には近づくことすらできなかった池の中央の枯れ木を触ることができる。鏡池の西側には堂々たる戸隠連峰がそびえ、晴れていれば間違いなく絶景だ。

安全のために

スノーシューの魅力は自分でルートを作りながら歩けることだ。夏場は植生保護のためにも参道や遊歩道を歩かねばならないが、積雪があれば大丈夫。ただし、いきなりガイドなしで歩くのはリスクがあると西田さんは注意を促す。

「雪に覆われた森に入ると自分の位置を見失い迷う可能性があります。天気が悪ければさらにリスクが増します。スノーブリッジと呼ばれる雪で形成された橋も、思ったよりも薄くて踏み抜く危険もあります。鏡池の氷も、私たちは来るたびに状態を用心深く確認しています」

西田さんらガイドは、雪の状態やその日の天気、参加者の体力に応じ、ルートをアレンジしながら安全に雪山を楽しんでもらう工夫を日々重ねている。

西田さんは「県内各地にそうしたガイドツアーがたくさんありますので、ぜひ活用して冬にしかできない信州の森を体験してください」と話している。

(石毛紀行)

しなのディスカバリー 長野県信濃町に地域おこし協力隊として移住し、3年間活動した西田幸平さんが令和元年7月に設立。同町を拠点に登山ガイドツアーや巨木の森のトレッキングツアー、里山を巡るサイクリング、冬のスノーシューツアーなど四季を通じたアウトドアツアーを催行している。西田さんは全国通訳案内士(英語)の資格を持ち、外国人のツアー参加者が多い。戸隠スノーシューハイキング1日コースは2~8人で催行、料金はスノーシューのレンタル込みで1人9500円。ツアーの詳細、予約は同社ホームページで。

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