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パラクライミング、障害・年齢関係なく一体感 普及へ子供向けイベントがスタート

産経ニュース / 2024年8月17日 11時35分

28日開幕のパリパラリンピックでは実施されないが、2028年のロサンゼルス大会の実施競技に追加されたスポーツクライミング。日本勢は昨年の世界選手権で3選手が金メダルを獲得する強豪国で、活躍が期待される。パラクライミングの普及活動を通じてユニバーサルな社会の実現を目指すNPO法人「モンキーマジック」(東京都武蔵野市)は、障害のある子供とない子供がともにクライミングを楽しむ交流型イベント「モンキッズ」を今夏スタート。障害の有無にかかわらず全ての子供が同じ場所で学ぶ「インクルーシブ教育」につながる活動で「心や社会の壁をなくそう」と取り組んでいる。

7月15日朝。東京都武蔵野市のクライミングジム「三鷹ジム」には、小学3年から中学2年の男女7人と保護者が集まった。うち2人の子供は目に障害がある。

この日開かれた第1回「モンキッズ」のテーマは、「クライミングを通じて仲間になろう」。スタッフを含む9人を3チームに分け、登れた課題の本数などで競うゲームに挑戦した。視覚障害のある子供には、晴眼者がホールド(突起物)の位置を声で教える「サイトガイド」を務める。晴眼者の子供もアイマスクを着けてチャレンジした。

クライミングは障害のある人も、ない人と同じ課題を楽しめるスポーツだ。同じ壁をガイドしあったりしながらともに登る中、チームには一体感が生まれていった。普段は視覚障害のある人と登っており、晴眼者の子供と初めて一緒に登ったという中学2年の女子生徒は「色んな子がいて、助け合いながら登るのが楽しかった」と声を弾ませた。

「モンキーマジック」では首都圏を中心にした交流型イベントを12年前から実施。趣旨に賛同した有志により、現在は北海道から九州まで全国17地域で同様のイベントが開催されている。各地域の人が主催し、障害の有無や年齢、性別、国籍などに関係なく、全員が「一参加者」となるのが特徴だ。

代表の小林幸一郎さん(56)はパラクライミングの国内第一人者で、世界選手権で5度の優勝経験を持つ〝レジェンド〟。一般社団法人「日本パラクライミング協会」の共同代表理事も務める。現在、パラクライミングの第一線で活躍している日本人選手の多くがイベント参加を通じてクライミングを始めており、活動は競技力向上にもつながっている。

世界選手権を2連覇し今年5月のワールドカップ第1戦で優勝、6月下旬の第2戦で銀メダルを獲得した京都府出身の濱ノ上文哉さん(34)も、東京で小林さんのイベントに参加して競技者となった一人だ。母の輝さん(63)はユニバーサルクライミングジムを京都府京田辺市に開設し、交流型イベント「はんなりモンキー」の開催にも尽力している。

キッズ版イベントのきっかけも、交流型イベントに参加した子供の一言。小林さんは病気で視力を失った子供が特別支援学校に通い始めると、障害のない友達と触れ合う機会が激減したと聞き、「障害のある子供には幼い頃から社会的な隔たりがある」と改めて気づかされたという。

「子供版のイベントがあったらいいな」。そんな言葉から、「幼い頃から障害のある子とない子が交流する機会があれば、偏見は自然に減少するのではないか」と企画。今後、裾野を広げていきたい考えで、全国的な広がりも期待される。

第2回「モンキッズ」は今月20日午前10時半から、前回と同じ「三鷹ジム」で開催。「はんなりモンキー」は25日午後1時半から、京都府京田辺市の「ロック・オン・ザ・ビーチ」で開催される。(木村さやか)

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