「勉強ができるのはまるで天国」不発弾で視力と両手を失った藤野高明さん
産経ニュース / 2024年8月6日 10時13分
終戦翌年の夏、不発弾の爆発で両目の視力と両手を失ったが、懸命の努力で進学し、盲学校教師を務めた藤野高明さん(85)=大阪市=が3日、奈良県葛城市の當麻文化会館で講演した。障害者への理解がなかった時代に懸命に点字を覚え、教師になる夢をかなえた人生を振り返りながら、「戦争は起こしてはならない」と訴えた。講演は「戦争体験を聞く会」実行委員会が主催した。
藤野さんは福岡市出身。終戦翌年の昭和21年7月、小川で乾電池のような筒を拾い、触っていたら爆発が起きた。旧日本軍の不発弾とみられ、当時5歳の弟は即死。7歳だった藤野さんは視力と手指を失った。
学校に通うことができず、通院が続いた。地元の盲学校への進学を打診するも「目が見えず、手がなければマッサージ業もできない」と二重の障害を理由に学校側が拒否。失意の日々を送ったが、ある日、ハンセン病患者の作家、北条民雄の著書「いのちの初夜」で差別や生と死を描いた内容に触れ、荒れていた心が静まった。唇や舌で点字を読むハンセン病患者がいると知り、同じ入院患者の盲学校の生徒に教わって点字を習得。国語や算数の勉強に夢中になった。
「メモができる、ノートもとれる。夢が持てるようになった」。字の獲得は「学校に通う」という次の目標につながった。20歳のとき、受験を認めてくれた大阪市立盲学校(当時)に中学2年生として入学。「勉強ができるのは、まるで天国のようだった」と振り返る。
卒業後は日大の通信制で学び、点字での試験を実施した大阪府の教員採用試験に合格。大阪市立盲学校の社会科教員を約30年務め、大勢の生徒を送り出した。藤野さんはこれまでの人生を振り返った上で、「今の平和はすばらしい。戦争は起こしてはいけない」と訴えた。
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