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開館60周年の横浜市民ギャラリー、その所蔵作品をめぐる取り組み  アートでつなぐヨコハマ(9)

産経ニュース / 2024年6月13日 13時40分

昭和41年に撮影された初代の横浜市民ギャラリー外観(横浜市民ギャラリー提供)

桜木町駅から歩いて10分、みなとみらい21地区を見渡す野毛山の上に横浜市民ギャラリーはあります。東京オリンピックが開催された昭和39年、作品発表のための広い展示会場を求める市民の声を受け、桜木町駅前にあった旧中区庁舎を利用して開館し、国内で初めて「市民ギャラリー」の名を冠した公設ギャラリーとされています。その後、昭和49年から約40年間は関内駅前(横浜市教育文化センター内)に所在していたことをご記憶の方も多いでしょう。東日本大震災の影響を受け平成26年に再び移転し、現在の建物は三代目です。

開館以来、今日まで60年にわたり美術団体の発表の場として親しまれる一方、初代館長で西区生まれの詩人・山田今次の指導のもと、当初より最新の表現を取り上げた現代美術展を積極的に企画するなど、同時代の作家たちの創作活動を支え、横浜のアートシーンを牽引(けんいん)してきました。これまでの主催展は300回を超え、現在も開催する「新・今日(こんにち)の作家展」「横浜市こどもの美術展」は、開館期からの理念を引き継いでいます。

また、横浜市には平成元年の横浜美術館設立まで公立美術館がなく、その役割も担った経緯から、こうした主催展の機などに収集した作品約1300点を所蔵しています。絵画、版画、写真、漫画をはじめとする横浜・神奈川にゆかりの作家を中心とした豊かなコレクションは、地域の美術発展の歴史、街の風景や記憶を後世に伝える市民の財産です。毎年2~3月に開催されるコレクション展はさまざまなテーマのもと所蔵作品を無料で楽しめ、会期中には幅広い年代の鑑賞サポーター(ボランティア)が活躍します。令和5年からは来場者とサポーターが感じたことを気楽におしゃべりしながら作品鑑賞を楽しむイベントも行い、美術を通じた人々の交流が生まれる場となっています。

横浜の美術を見守り、発信し続け今年で60周年。館内エントランスでは、その歩みを紹介する小展示「いりぐちギャラリー」も4月より始まりました。積み重ねた歴史を礎に、これからも市民のみなさんとともに歩んでいきます。

(横浜市民ギャラリー主任エデュケーター・主任学芸員 河上祐子)

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