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亡き家族のスマホのパスワードが分からない 遺族を困らせない「デジタル終活」のすすめ これから 100歳時代の歩き方

産経ニュース / 2024年6月23日 9時0分

デジタル化が進む社会では、買い物から金融まで日常生活のあれこれをスマートフォンで済ませている人は多い。写真データも無数に入っている。自分が死んだら、これら「デジタル遺品」はどうなるのか。本人や家族がやっておくこと、できることを専門家に聞いた。

「故人のスマホのログイン・パスワードが分からず、中に入れない」「スマホに入れないので友人たちの連絡先が分からず、訃報を知らせることができない」「遺影用の写真をスマホから取り出せない」-。日本デジタル終活協会代表理事で弁護士・公認会計士の伊勢田篤史さんは、全国での講演などを通じ、遺族のこんな声を聞いてきた。

スマホなどに残されたデータやインターネットサービスのアカウントはデジタル遺品といわれ、連絡先のリストやネット銀行・ネット証券のアカウント、フェイスブックなどSNSのアカウントなど多岐にわたる。

最も大事なのは、スマホのパスワードを遺族に伝える仕組みを作っておくことだという。終活に詳しいジャーナリストの古田雄介さんは「スマホのスペアキー」という名刺大のカードを考案。スマホの名称とパスワードを記入し、パスワードの上に修正テープを張っておけば、生前は見られず、死後はコインなどで削れば見られる。

「スマホを開くことができれば、デジタル遺品の処理は何とかなる。それだけはやっておいてほしい」と、伊勢田さんは強調する。

生前はパスワードを共有したくないという人は、財布や預金通帳といった、死後に遺族が目にするであろう場所にパスワードを書いたスマホのスペアキーを保管するとよいという。

ネット銀行やSNSアカウント

パソコンやスマホ上で利用しているサービスを生前から一覧にしておくと、遺族は助かるが、そのようなケースはまれだ。

遺族がデジタル遺品を探す場合、ネット銀行はキャッシュカードを探して、当該銀行に問い合わせるとよい(カードがないケースもある)。ネット証券は、パソコンやスマホ上のアプリや預金口座の入出金記録などから探すのが一般的だ。「証券保管振替機構(ほふり)」に開示請求することもできる。伊勢田さんは「銀行や証券は利用機関名が分かれば、IDなどは分からなくても大丈夫だ」と言う。

毎月や毎年、料金を支払う定額課金サービスは「スマホのアカウントや預金口座の入出金記録から調べることができる」(伊勢田さん)そうだ。

スマホなどの料金を考え、遺族が故人の通信通話契約をすぐに解約してしまうケースは少なくない。しかし、伊勢田さんは「アカウントなどを調べる際に支障となる恐れがあるので、解約はデジタル遺品の処理が終わった後にしたほうがいい」と話す。

「終活」は高齢者だけに限らない

インターネットサービスはとかくたくさん利用しがちだ。銀行や証券、定額課金サービスなど、本人でも把握しきれていないことが多い。

伊勢田さんは「使用頻度が低いものを整理しておく必要がある。終活としてではなく、無駄なお金を使わないように、と考えればすぐに取り掛かれるはずだ」と言う。

パソコンやスマホ上のサービスを利用している人は、高齢者より若い世代のほうが多い。伊勢田さんは「スマホにすべての情報が入っているという人も少なくない。デジタル終活は高齢者に限った話ではない」と話している。(小川記代子)

自分の情報を開示して親に話してみよう

親にデジタル終活を切り出すのに抵抗がある人は少なくない。実家片づけ整理協会代表理事の渡部亜矢さんは「子供が自分の情報を開示し、親の情報を聞くのも一つの方法だ」と話す。

自分はネットで投資をしているし、このアプリのサービスも使っている。アカウントはこれこれだ。災害があったら大変だから、お父さんにも伝えておくよ。ところで、お父さんはスマホで何かやってないの-。

「コロナ禍や自然災害があり、世の中、どうなるか分からなくなっている。『何かあったら困る』という観点で話を進めていくと、親も思いを共有しやすい」と言う。

防災という観点からは、パスワードなどを書いた紙の保管場所は、死後に家族が見るであろう場所のほか、「防災リュックにしておくのもいい」そうだ。渡部さんは「家族にきちんと情報が伝わることが何より大事だ」と強調する。

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