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「グリ下」に集う若者の実態は 現状つかんで効果的な支援を 大阪社会部・吉田智香 記者発

産経ニュース / 2024年7月21日 8時0分

若者が集まるグリコ看板下周辺の「グリ下」(南雲都撮影)

大阪の繁華街・道頓堀にある巨大看板「グリコサイン」は大人気の観光スポットだ。国内外からやってきた観光客が同じポーズを取り、記念撮影をする姿はほほえましい。一方で看板の周辺は「グリ下」と呼ばれ、日が暮れると居場所を求める若者が集まる。未成年の飲酒やけんかといったトラブルや、犯罪に巻き込まれるケースもある。

そんな若者を放っておけないと大阪市の認定NPO法人「D×P(ディーピー)」が徒歩5分ほどのビルに設けた支援拠点「ユース(若者)センター」が1周年を迎えた。6月に訪れると、室内の階段状になった一角にはクッションやぬいぐるみが置かれていた。スマートフォンを充電できるコンセント、メークや動画撮影のためのスペースも。友人とおしゃべりをし、ゲーム、漫画を読むなどくつろいで過ごせそうな空間だ。

安心してエネルギーをためることができ、自立に向けて人とのつながりを得られる場所をコンセプトに週2回、午後4~10時にオープン。複数のスタッフが常駐し手作りの食事も提供する。利用者は1日平均約60人。開所日以外は個別相談に対応。病院やクリニック、自治体の窓口にも同行する。時には生活拠点となる住居の確保も担う。

手厚い支援が必要とされるのは、厳しい状態に置かれている若者が少なくないからだ。これまでかかわった70人の相談内容を分析すると、年齢は13~25歳で平均は18・1歳。女性が約7割を占め、全体の6割が家庭内での暴力や虐待の経験者だった。経済的に困窮している人もいる。

広報担当者は「大人への不信感から、福祉的な支援に諦めに近い気持ちを抱いていたり、家族や先生に話を聞いてもらえない、悩みを受け止めてもらえないといった経験をしたりした若者が多い」と説明する。医療や福祉、法律の専門家と連携してサポートすることもあるが、若者が抱える背景に対する社会の理解は十分でないという。

グリ下に集まる若者の詳しい実態を把握するため、D×Pは数百人規模のアンケートを行う計画で、結果をもとに国や自治体に提言する。調査で現状を明らかにすることが効果的な支援につながり、根本的な問題解決の糸口になることを期待している。

吉田智香

平成16年入社。高松支局、阪神支局などを経て、令和5年6月から大阪市役所キャップ。大阪社会部ではこれまでに行政や教育を担当した。

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