「すべては現場のため」 創意工夫で「相棒」開発に励む「装備課」 警視庁150年
産経ニュース / 2024年11月27日 8時0分
事件捜査や大規模警備、交通取り締まりなどの警察活動で〝相棒〟として欠かせないのが、ノウハウや工夫の詰まった装備資器材だ。警視庁装備課は、安全かつ迅速な警察活動が遂行できるよう、さまざまな装備資器材の開発に励んでいる。警視庁が開発し、全国の警察に広がり、利用されているケースもある。装備課の合言葉は「すべては現場のために」だ。(大渡美咲、写真も)
■配布グッズも
特殊詐欺の被害防止のため、固定電話の受話器に取り付けると、自動で会話を録音できる「録音チュー」。安価で粘着テープで貼り付けられるため、啓発イベントなどで高齢者に配ることができるという。
遺体を取り扱う機会の多い警察で活躍するのが「遺体搬送機」。担架などで搬送するには3~4人が必要だが、車いす型の台車に遺体を乗せると、女性1人でも搬送できる。狭い場所やエレベーター、段差にも対応可能だという。
マラソンなどの沿道警備や交通規制の際に歩行者や車両の進入を防ぐ「エアガード」。わずか2キロで、空気を入れて膨らませることができるため、搬送や設置が簡単にできるという。
■職員からもアイデア
これらの資器材は、警視庁の職員が発案し、実際に現場で使われているものだ。録音チューや遺体搬送機などは全国の警察で利用されているという。
警視庁では昭和59年から現場で使いやすい警察装備の充実や発展のため、職員からアイデアを募る「警察装備創意くふう展」を開催している。今年で38回目となる。
募集する作品は、容疑者制圧、警察官の受傷事故を防止、大規模災害やテロなどの突発事案対策などに使われる資器材だ。優秀作品は警察庁の全国コンクールに出品される。遺体搬送機は警察庁長官賞と文部科学大臣賞を受賞した。
■第一線支える
警察活動に欠かすことのできない装備資器材の管理を担う警視庁装備課は27年4月に発足した。制服や警棒、警察手帳など被服関連の管理、パトカーなどの車両や船舶の管理と整備・点検なども担当している。
犯罪状況の変化や現場の要望の多様化に対応するため、平成8年には装備開発運用センターを発足。12年には通信や無線の管理を行う通信管理運用センターも加わった。大規模警備や災害現場などで映像を撮影、中継し、部隊指揮のための重要な情報を届けている。
装備課では、「事件や事故、災害などの現場で効率的な警察活動ができるよう、『すべては現場のために』を理念に、第一線の要望に的確に応えていきたい」としている。
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