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推しをアピール、ファンが応援広告 可処分所得の2割を投入「生きがい与えてくれる」

産経ニュース / 2024年11月18日 12時13分

大阪メトロ御堂筋線の心斎橋駅構内に掲示された応援広告=大阪市中央区(泰道光司撮影)

アイドルやアニメのキャラクターなどを応援する「推し活」。コンサートに参加したり、誕生日や記念日を祝ったりするのが一般的だが、近年ではファンは広告主となり、駅などに推しへの応援メッセージを掲出する「応援広告」が人気を集めている。推しの魅力をより多くの人に知ってもらいたいというファンの熱意から生まれ、昨年度の国内の市場規模は380億円を見込む急拡大ぶり。その実態とは-。

11月初旬、インターネット上で顔を出さずに歌手活動を行う「歌い手」グループのメンバーの誕生日を祝う応援広告が掲出された大阪メトロ御堂筋線心斎橋駅(大阪市中央区)の構内。水色の髪の男性キャラクターのイラストが描かれた横約1・5メートル、縦約1メートルのポスターの前で、通勤客らが時折、足を止めて眺めていた。

広告主はファン約60人でつくる任意団体。東京や北海道の駅などにも掲出予定といい、団体代表の20代女性は「既存のファンだけではなく、より多くの人の目に触れる応援広告で(推しの)1年に1度の大切な日の思い出を記録したかった」とする。

応援広告は約10年前、韓国のオーディション番組をきっかけに誕生したとされる。日本では、約5年前ごろからアイドルなどのファンの間で「推し活」の一環として広まっていった。

大阪メトロでは、4年前から同駅のほか梅田駅(同北区)やなんば駅(同中央区)でアイドルグループやVtuberの応援広告を受け入れてきた。令和5年度の売上高は前年度比262%増と好調といい、担当者は「認知度が高まってきたのもあるが、個人が広告主の広告がここまで人気になるとは思わなかった」と驚く。

首都圏では枠を巡り争奪戦

<お誕生日おめでとう!><コンサート開催できてよかったね!>。ファンが応援広告を掲出する理由はさまざまだ。特に若年層で関心が高いとみられる。

全国の駅などで広告事業を手掛ける「ジェイアール東日本企画」(東京)では、応援広告の需要の高まりを受けて4年、ファンに代わって所属事務所などへ画像使用の許諾申請を担うサービスを始めたところ、5年度の申し込みは1002団体と急増。担当者は「今年はその倍で進捗(しんちょく)している」と明かす。

特に首都圏で盛り上がりを見せているといい、アニメ関連ショップが立ち並ぶ東京・池袋などが応援広告の「聖地」となり、誕生日などイベント開催前には枠を巡って争奪戦になるほどだ。

費用は主要駅の場合、B0サイズ(縦103センチ、横145・6センチ)のポスター1枚で約6万~9万円(税別)。駅構内の大型ボードなどは数十万円かかるが、ファンが資金を出し合って掲出するケースもあるという。

同社の調査では、昨年度の市場規模は377億円と推計され、同年の屋外・交通広告費の1割に相当する急拡大ぶりを見せている。担当者はこうした背景に「SNSが当たり前の時代にあえてアナログな手段で推しの魅力をより多くの人に知ってほしいというファンの思いがあるのではないか」と推察した。

日本人の3人に1人に「推し」、生きがいや活力に

広告大手の博報堂が発表した「推し活」について幅広くまとめた「オシノミクスレポート」では、10~60代の男女5万人のうち3割超が「推しがいる」と回答。かつては「オタク」としてみられることも多かったが、いまや推し活は生活の一部となり、生きがいにつながっている実態が明らかになった。

同レポートによると、男性よりも女性の方が「推しがいる」と回答した割合が高く、うち10代女性が8割超と最多だった。その一方で、40~50代男性も約2割が「推しがいる」と回答し、推し活が幅広い年齢で行われていることが示された。

推し活に関する考えを聞く項目では、「推しが活躍する姿を見るとうれしい気持ちになる」「推しは生きがいを与えてくれる」などと回答した人が多く、推しの存在が日々の生活の活力となっていることがうかがえる。

また、所得のうち自由に使い道を決められる「可処分所得」で推し活に費やす割合は、全ての年代で2割を超えていた。(小川恵理子)

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