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「ねこから目線。」東京進出 有償事業で社会課題の解決目指す

産経ニュース / 2024年9月14日 11時47分

ネスレ ピュリナと「ネコリパブリック」が共同運用する「ネコのバス」。移動式の保護猫の譲渡会に活用されている =13日午後、神戸市中央区

関西を中心に保護猫専門サービス事業を展開し、本紙夕刊に連載記事を執筆中の「ねこから目線。」(大阪市)が今夏、東京進出した。スタッフは25歳の小松達成さん1人だが、1カ月余りで20件近い依頼があり、滑り出しは順調。ボランティアが担ってきた活動を有償化することで社会課題の解決を目指そうという取り組みは、企業や自治体などとの連携にと広がり始めている。

「ねこから」は「ノラ猫・保護猫専門のお手伝い屋」を掲げ、猫を捕獲、不妊手術して元の場所に戻す「TNR」や迷子猫探しなど、「猫にメリットがあると考えられること」に有償で対応。現在は京都、姫路にも拠点を置くほか、沖縄、福岡久留米と東京でフランチャイズを展開し、18人のスタッフを抱える。先月、大阪と京都で扱った206件の依頼の約半分は野良猫、3割は保護猫の対応だ。

代表の小池英梨子さん(34)は立命館大学大学院で対人援助学を学んだ後、福祉支援対象者をペットと切り離さずに多機関連携で支援するボランティア活動などに取り組んできた。動物病院が断る相談事を個人的に引き受けてみると、相談者の7割はたまたま関わった猫を「有料でも何とかしたい」と考えていると分かり、有料サービスがあればボランティアの負担を7割減らせる-と考え、平成30年に創業。令和3年に株式会社化した。

東京のフランチャイズオーナーになったのは、全国で保護猫カフェなどを展開する「ネコリパブリック」代表の河瀬麻花さん(49)。平成26年に「自走型」保護猫カフェ1号店を岐阜にオープンさせ、翌年株式会社化した。株式会社が事業として保護活動に取り組む先駆けだ。「ボランティアではなく、自立したビジネスで猫を幸せにしたい」という河瀬さんは、かねて「ねこから」のフランチャイズに興味があったという。

一方、山口の実家で猫を飼っていた小松さんは就職を機に上京して猫カフェでボランティアに取り組む中、興味を持った「ねこから」のオンライン講座を昨年10月に受講。今春は職場体験にも参加した。「東京でフランチャイズをやりたい」と思ったが、必須の車や仕事道具を置ける拠点を借りる資力はなかった。「有望な人材がいるんですけどね…」という小池さんのぼやきに、都内に保護猫シェルターと車がある河瀬さんがオーナーとなり、東京でのフランチャイズ立ち上げが決まったという。

依頼は都内だけでなく神奈川、千葉、埼玉と広範囲からあり、小松さんはフル稼働の日々。それでも、大好きな猫の役に立てる仕事は「充実している」と笑顔を見せる。

7年目に入った「ねこから」には、マンションの管理会社やボランティア団体などからの依頼も増えてきたという。大阪市内の商業施設から依頼された野良猫の管理では、もともと地域で活動していたボランティアに「ねこから」が一部業務委託して運営。収益の還元先も広がっている。ボランティアの善意と献身に支えられてきた活動が株式会社の事業として可視化された〝効果〟は大きく、現在は自治体との連携も模索中だ。河瀬さんはこう話す。

「ボランティア活動には限界があります。でも、持続可能な自立したビジネスによる保護活動が広がっていけば、『保護活動はボランティアでやるもの』という今の社会を変えていけるのではないでしょうか」(木村さやか、写真も)

連載「ねこから目線。の現場から」は毎月第4土曜日の夕刊で掲載中です。

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