湯田ダムで水没の鉄道遺構見学会が超人気、10年に1度の工事で水位下がり散策可能に
産経ニュース / 2024年11月2日 8時0分
岩手県西和賀町の湯田ダムの建設で水没した鉄道遺構の見学会を国の北上川ダム統合管理事務所湯田ダム管理支所が企画したところ、参加者の募集開始から1日足らずで40人の定員に達した。10年に1度の工事で水位が下がることによって全体が姿を現す軌道跡やトンネル跡に足を踏み入れて散策できる鉄道遺構ファン垂涎(すいぜん)のプログラムが人気を集め、同管理支所の佐々木大支所長も「予想以上の反響です」と目を丸くした。
普段はSUPツアー
湯田ダムは奥羽山脈に端を発する和賀川に建設された。竣工(しゅんこう)は昭和39年。住宅約600戸と、秋田県横手市と当時の黒沢尻町(北上市)を結んでいた旧国鉄横黒線(現・JR北上線)のトンネルや落石からレールを守るロックシェッドがダム湖の錦秋湖に水没した。
水位が年間15メートルの幅で上下し、最も高い春は水没林、最も低くなる夏に旧国鉄横黒線の軌道跡やトンネル跡といった鉄道遺構の景色が楽しめる。あくまでも水上からの観賞となり、ボードの上に立ってパドルでこぐ「スタンドアップパドルボード(SUP)」のツアーが人気を集めてきた。
ただ、令和3年からは錦秋湖付近を通る国道107号の地すべりに伴う工事で湖面の利用が禁止となり、SUPのツアーも中断を余儀なくされている。
そのような状況で10年に1度の発電と農業用水供給用の共同取水口のメンテナス工事をする年を迎えた。8角形の共同取水口は8本の鋼製の柱の間に張った水を通すスクリーンで取水する構造。鋼製の柱の塗装工事とスクリーンの補修をするために通常の最低水位からさらに水位が2・5メートル下がり、鉄道遺構が地上に現れるというわけだ。
竣工60周年を記念
廃墟ブームも手伝って鉄道遺構は人気が高い。錦秋湖を活用した地域おこしに取り組む地元の協議会の事務局を務める同管理支所は地域への一層の集客を図ろうと、湯田ダム竣工60周年とJR北上線全線開通100周年を記念する「貯水池遺構見学会」として企画した。
見学会は11月9日の午前と午後の2回実施で、定員は各20人。同管理支所によると、10月21日午後2時にホームページで募集案内を掲載したところ、翌日朝には定員に達したという。案内では念のため、定員に達しない場合は開催日に現地でも受け付けることを記載していたが、良い意味で裏切られた格好だ。
国道107号の地すべりは地元経済に影を落とし、この地域を走るJR北上線は採算性が悪い赤字路線の一つ。佐々木支所長は「残念ながら現在の管理支所の体制では見学会の回数増や定員増は不可能だが、今後も地域を盛り上げるため、湯田ダムと錦秋湖の魅力を発信できるイベントに積極的に取り組んでいきたい」と話している。(石田征広)
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