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死んだペットの安置冷蔵庫開発、別れの時間確保 川崎のメーカー 中国の葬儀業者も関心

産経ニュース / 2024年9月11日 16時32分

死後のペットを安置する冷蔵庫を発表した「たつみ工業」の岩根弘幸社長=東京都内

ペットを失った飼い主に別れの時間を作ってもらおうと、プレハブ冷蔵庫製造の「たつみ工業」(川崎市)が死後のペットを安置する冷蔵庫を発表した。食品用を主力製品とする同社は新型コロナウイルス禍で人の遺体の火葬待ち問題に対応する安置用冷蔵庫の本格販売に乗り出し、葬儀関連業界で知名度を上げる中でペット用のニーズもつかんだ。販売先は寺院などを想定。中国の業者から関心が寄せられ、同社は「ペットを思う気持ちに国境はない」と自信をみせる。

火葬に立ち会えないケースも

犬猫や鳥などペットの大きさにあわせて6つの収納スペースが用意され、その扉にはペットの写真が飾られていた。8月下旬、東京都内で開かれた終活産業に関する「エンディング産業展」の一角で、たつみ工業はペット用の安置冷蔵庫「おくりこ pet」を初披露した。

同社によると、ペットの死後については人間と違って厳格なルール、傷みに対する処置も確立されておらず、自宅などで安置する期間が短くなるとされる。火葬は寺院のほか、移動火葬車などで行われ、飼い主が単身赴任などで立ち会えないこともあるという。

「ペットは家族同然。お別れする心の準備をするためにはしばらく見ていたい、触りたい。そういったニーズに応えられる」。同社の岩根弘幸社長は製品の狙いをこう強調する。

収納スペースの数や大きさなどはオーダーメードで設計できる。展示場で披露されたモデルは幅230センチ、高さ160センチ、奥行き85センチ、本体価格130万円。ペット葬儀社、寺院、動物病院などへの販売を想定しており、今月に入って関東地方の寺院と導入に向けた商談が進んでいる。

コロナ禍で火葬待ちが深刻化

昭和37年創業の同社は50年にわたってコンビニエンスストア向けの食品冷蔵庫を主力製品とする一方、数十年前から寺院などの依頼を受けた場合に遺体用の冷蔵庫を販売してきた。

同社によると、コロナ禍で感染した人の遺体が病院から火葬場に直接搬送された時期以降、火葬待ちの問題が深刻化。ドライアイスで遺体を冷やすよりも手間などがかからない同社の製品を口コミで知った葬儀社、寺院などから問い合わせが相次ぎ、本格販売に乗り出した。

葬儀社の助言を受けながら使い勝手がよくなるように改良を重ね、今年度の売り上げは8月時点で令和2年度の年間の約2・3倍に達した。「食品用冷蔵庫の会社が遺体用を扱うと『えー』となるかもしれないが、世の中に役立ち、必要とされている」(岩根社長)。関連の展示会への出展などPRに力を入れていく中で昨年、ペット用を希望する声が寄せられた。

「(中国)深圳に来てくれ」。先月のエンディング産業展で、「おくりこ pet」の実物を見た中国の葬儀関連業者は岩根社長にそう訴えかけたという。長らく一人っ子政策が続いたことを背景に子供のきょうだい的な存在などとしてペットが愛されていることを力説し、中国での商機を語っていたとされる。

岩根社長は「国は違えど状況は一緒。今後は(外部からの)アドバイスをうまく製品に反映させ、完成度を高める」と意気込む。(高久清史)

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