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本場の味、兵庫・沼島から 料理旅館「木村屋」ハモすき もっと勝手に美食倶楽部

産経ニュース / 2024年7月27日 8時0分

鮮やかな手つきでハモをさばいていく「木村屋」4代目社長の木村龍平さん

淡路島南部、紀伊水道に浮かぶ周囲約9・5キロの離島・沼島(ぬしま)(南あわじ市)。古事記や日本書紀で知られる「国生み神話」ゆかりの地であり、イザナギノミコトとイザナミノミコトの「国生み二神」が日本列島を創造した際、最初に手がけた「おのころ島」こそ沼島という説もある。

そんな歴史の島にあり、来年で創業100周年を迎える老舗料理旅館「木村屋」には、旬を迎えたハモの料理を求めて多くの人が訪れる。中でも、脂が乗ったハモと淡路島特産のタマネギなどを一緒に炊いた「ハモすき」は郷土が誇る自慢の逸品といえる。

沼島やその周辺は海底に泥や砂が多いことからハモの生育に適しており、ここでとれたハモは、胴の太さと比べて小顔で皮がやわらかい「べっぴん鱧(はも)」と呼ばれる。京都・祇園祭や大阪・天神祭でも珍重されるこの特産食材を生かした「ハモすき」は、ハモ料理の中でも文字通りの筆頭格。ハモといえば多くの人が「湯引きにして梅肉で」と考えるだろうが、食べ方は決してそれだけではないことを教えてくれる。

鍋から取り出した肉厚の身を口に入れる。濃厚な味わいとやわらかさに驚く。ハモは骨が多い魚なので、包丁で細かい切れ目を入れる「骨切り」という処理が必須。皮一枚を残して切るのがポイントだが、その皮も「食べているのか分からない…」ほどやわらかい。

「ダシは、ハモのアラ骨や頭だけでとっているんです」と女将(おかみ)の木村仁美さん(67)は味の魅力を解説。4代目社長で仁美さんの長男・龍平さん(43)は、身のやわらかさの理由について「ハモが育つうえでの『土壌』が違うからなんです」と説明してくれた。

甘めの味わいで箸がどんどん進む。ダシ以外に、ハモと一緒に炊いた淡路島特産・タマネギのおいしさも実感できる。仁美さんらによると、ハモすきの起源は沼島の漁師の郷土料理。それが約40年前にテレビ番組で紹介されて注目を集め、平成10年の明石海峡大橋開通で日帰り旅行が可能となったことで、人気に拍車がかかったのだという。

シメには、残ったダシにハモの子を入れて鶏卵を加え、卵とじにしたものを白米にかけて食べる。2種類の卵が生みだす深いコクに、淡路島地域の「夏の味覚」の神髄をみた思いだ。

来年は2025年大阪・関西万博が開催される。淡路島や沼島に注目が集まる中、仁美さんは「この機会に、『本場のハモ』をぜひ味わっていただきたい」と笑顔で語った。

沼島汽船・沼島港から徒歩約10分。「ハモすき」コースは1人1万2千円(税別)で、日帰りでも受け付け可能。内容の変更を経て、10月いっぱいは受け付ける。コース料理ではハモすき以外にハモの天ぷらや寿司(すし)などもつく。創業は大正14年で、旅館は来年、開業100年の節目を迎える。昼食専門の「お食事処 大平」も併設しているが、ハモが旬を迎える時期は本体の旅館が業務多忙なため臨時休業になることも。問い合わせは(0799・57・0010)。

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