1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

ふるさと納税、年末恒例の駆け込みラッシュ アマゾンが猛攻、業界の勢力図激変の可能性

産経ニュース / 2024年12月28日 10時0分

年末まで受け付けているふるさと納税で、恒例の駆け込みラッシュが起こっている。今月19日にはアマゾンジャパン(東京都目黒区)がふるさと納税の仲介事業への参入を発表。同じ返礼品でも他社サイトよりも寄付額が低い設定で、猛攻をかけている。ただ、ふるさと納税による減収分は、地方交付税を受けている自治体なら一定割合が補填される仕組みとなっており、巡り巡って国民が負担していることになる。交付税を受けていない不交付団体は、流出分のすべてが税収減につながるため、地域の住民に冷静な利用を呼び掛けている。

楽天に「本業のライバル」登場

ふるさと納税は、住んでいる自治体以外へ寄付をすることで、税金の還付や控除を受ける仕組み。寄付額から2000円を差し引いた額が控除額となり、その上、寄付先の自治体からは返礼品を受け取ることができる。このため、実質2000円の負担で地域の特産品を得られるようになっている。人気の返礼品は牛肉や海鮮、コメといった食品、家電や雑貨、高額な旅行プランなどもあり、官製通販とも批判される。

寄付は1年中できるが、来年の税金控除を受けるには年内に寄付をする必要があり、駆け込み需要を狙って、ふるさと納税の仲介サイトが最も活況となるのが年末の恒例となっている。

今年、師走に入り、アマゾンジャパンが制度への参入を表明し、同業他社に衝撃が走った。アマゾンは、ネット通販で培った物流ノウハウなどを生かし、自治体からの手数料をほかの仲介サイトよりも低く設定しているとみられる。同じ自治体の同じ返礼品でも、寄付に必要な額が低いのが特徴となっている。

楽天グループなどのサイト大手はポイント付与によって利用者の囲い込みを行っており、ポイント還元分が相対的にコスト高になっているところに一石を投じた形だ。制度を所管する総務省は来年10月からポイント付与を禁止するとしており、サイトで反対署名を募集している楽天にとっては、本業のネット通販でも最大のライバルが、ふるさと納税でも立ちはだかることとなった。

利用増で苦悩の不交付団体

ふるさと納税はもともと、地方で人材が育っても都市部へ流出し、税金も流出先に納められる現状に対し、出身地など税金の納付先を自分で選ぶことができるようにするために創設された。返礼品となる特産物の開発で地域も活性化すると想定されたが、ふたを開けてみれば、返礼品に商品券が配られるなど、自治体間の過度な競争を招いた。度々規制は強化されたものの、令和5年の寄付額は初めて1兆円を突破した。

忘れてならないのは、寄付額の全額が都市部から地方に移転しているわけではないことだ。総務省はふるさと納税において、返礼品やサイトの運営、配送料などの経費は5割を上限と定めている。上限ギリギリ5割近くが経費として消えているとされる。また、税収の減少分は地方交付税で補填されることになっている。交付を受けている団体なら、減収の影響は小さくて済むが、それを支えているのは国民の税金だ。ふるさと納税は、都市部から地方に税金を移転させる効果はあるが、寄付額の半分近くは事業者に流れ、損失分を国民が負担して維持している制度ともいえる。

ふるさと納税で最も〝割を食う〟のは地方交付税を受けない不交付団体だ。令和6年度の不交付団体は東京都と82の市町村。名古屋市や川崎市などの政令市も含まれるが、必ずしも都市部とは限らない。ある不交付団体の幹部は「ふるさと納税の流出がこれ以上大きくなると、住民サービスへの影響は避けられなくなる」と頭を抱える。不交付団体の千葉県浦安市はホームページで「ふるさと納税による市税の流出について、考えてみませんか?」と制度の見直しについて訴えている。(高木克聡)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください