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車体より長いサーフボードの運搬は違反? 湘南エリアでサーファーの自転車走行に懸念の声 深層リポート

産経ニュース / 2024年10月5日 11時0分

ウエットスーツを着用したまま町を歩くサーファーなど、サーフィンが日常に溶け込んでいる神奈川県鎌倉市や藤沢市、茅ケ崎市を中心とする湘南エリア。数キロ離れた市街地から自転車などでサーフボードを運ぶ人の姿も地域独特の風景となっているが、積載ルールを守ることが徹底されておらず、安全を懸念する市民の声も上がっている。

積載装置は数万円

「通行量の多い狭い道路では特に自動車や人との接触の危険をはらみ、大きな事故につながる可能性もある」

9月19日の県議会定例会本会議でかながわ未来の脇礼子議員が県警に対し、正しいサーフボードの積載方法の周知や指導警告を求めた。「ひやひやしながら(自動車を)運転したことがあり、地域住民にとっては交通安全対策が深刻な問題になっている」と訴えた。

サーファーの間で使われているのは、フック状の積載装置で、自転車のフレームに装着してフック部分にボードを乗せ、ロープで固定する。サーフショップのほか、ネット通販でも数万円程度で購入できる。

和田薫県警本部長は脇議員の質問に「個別具体の状況により判断する」と答弁した。車両に荷物を積載する場合、道路交通法でハンドルなどの操作を妨げたり、車両の安定を害したりしないようにすることが求められる。自転車については、県道路交通法施行細則で積載する荷物の長さについて「乗車装置又は積載装置の長さに0・3メートルを加えたもの」と細かな制限が設けられている。

ロングボード「ほぼ違反」

インターネットのサイトなどで、「乗車装置」の長さを自転車の全長と解釈し、それに0・3メートルをくわえた長さまでのボードを積載できると判断している例がみられるが、これは誤りだ。乗車装置とは自転車のサドルなど、人が乗る部分のことを指し、通常の自転車でボードを運搬する際は積載装置の長さから積載可能なボードの長さが決まってくる。そして、一般的な積載装置は自転車の全長よりも短い。

県警交通指導課は「ボードを運搬している自転車による事故は発生していない」としつつも、「一般的な積載装置の大きさからすると、(約2・7メートル以上の)ロングボードはほぼ違反。ショートボードでも装置の形状次第で違反となるので注意が必要」と指摘。再三の警告に応じないなど、悪質な場合は取り締まる方針を示す。

9月下旬の週末、多くのサーファーが波を楽しんでいた藤沢市の江の島では、砂浜のそばに十数台の積載装置付きの自転車が駐車されていた。中にはボードの積載装置のほか、チャイルドシートを装着している自転車もあったほど。ボードを抱え片手運転をしたり、くわえたばこで車道の真ん中を走行したりするベテランサーファーなど、自転車走行のルール違反も目についた。

米で禁止呼び掛けも

サーフィンの盛んな米国西海岸でもボードの運搬に関する問題が起こっている。近年、電動自転車の普及に伴い、多くのサーファーがボードの運搬に使うようになり、カリフォルニアの有名サーファーが州立公園での使用禁止を呼びかけている。

西海岸では1970年代、サーファーがボードを片腕で抱えたまま移動できるようにと幅広なハンドルに太めのタイヤが特徴の自転車「ビーチクルーザー」を生み出したほど、自転車とサーフィンの関係は深い。

電動自転車のほか、電動キックボードの規制緩和などで、将来的には移動手段が多様化するとみられている。ルールを分かりやすく整理、周知徹底することが、地域のサーファー文化を守り、周辺住民の交通安全にもつながる。

都道府県の道路交通法施行細則

交通規制について、各都道府県の公安委員会が地域の実情を踏まえて定めた細則。神奈川県ではイヤホンで音楽を聴きながら運転する「ながら運転」の禁止なども規定している。

記者の独り言

湘南エリアのサーフィン文化は地域に根付いており、サーファーが自転車にボードを乗せている姿も好意的に見ていた。一方、国内の基準を超えた海外製の違法な電動自転車を街中で見かけるようになったことを自転車愛好家として苦々しく思っていた。ルール無視の悪しき流れが地域の良さを損なうのではと危惧している。(高木克聡)

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