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伊弉諾神宮由来の酵母で〝神様の酒〟「神宅の酒」完成 学生らが境内で3年がかりで酵母見つけ出す

産経ニュース / 2024年8月2日 6時0分

伊弉諾神宮で採取された酵母を使った純米吟醸「神宅の杜」=8月1日午前、兵庫県淡路市多賀、伊弉諾神宮(藤崎真生撮影)

イザナギノミコトとイザナミノミコトの「国生み二神」を祭る伊弉諾神宮(淡路市、本名孝至宮司)由来の純米吟醸「神宅(かんやけ)の杜(もり)」が完成した。吉備国際大学農学部(南あわじ市)の学生たちが神宮の境内で採取した酵母を使い、老舗酒蔵「千年一酒造」(淡路市)が仕上げた。「発売奉告祭」が1日に神宮で営まれ、初めてとなる本格販売に関係者は「この酒が多くの人に愛されるように」と期待を寄せる。

計画は、広く知られる伊弉諾神宮の名を生かし、地域活性化に役立てようと吉備国際大学・井上守正教授の研究室で令和2年度に始まった。

酒造りに不可欠で、香りや味の鍵を握る酵母は自然界に広く存在する。学生たちは、伊弉諾神宮ゆかりの酒造りをするため、境内での採取を試みた。しかし、御神木「夫婦大楠(めおとのおおくす)」の近くや神宮の許可を得て本殿周辺などを探しても酵母は発見できなかった。

計画開始から3年目の令和4年、本名宮司の配慮により、学生たちは本殿近くまで入り、培養液につけた和紙を、その場にあった石に貼り付けたところ、酵母が見つかったのだという。

2年目にも採取を試みた場所だったが、和紙を使うなど方法を変えたことが奏功した。現在の本殿は、イザナギノミコトの神陵(みささぎ)の上に立っており、その石は神陵に使われていた。

見つかった酵母は遺伝子解析などで酒造りに適したものと確認され、酒の誕生へとつながる。「神宅の杜」の初完成は昨年で、当時は試験販売。今年は、初めての本格販売(税抜き1本2700円)が実現した。

1日には神宮で「発売奉告祭」が営まれ、関係者が酒の完成を祝った。酒造りを担った千年一酒造の上野山善彦社長(66)は、味わいについて「すっきりとした酸味と香りが魅力」と説明。同大学農学部醸造学科4年の木上晴登さん(22)は「先輩方の努力が形になったのは本当によかった」といい、酵母についても「日本酒だけではなく、ワインやパンなど他の食品類に使える可能性を探求していきたい」と話した。

本名宮司は「酵母が見つかったのは、神陵を形成していた『聖石』。淡路島のひとつのブランド『神様の酒』として、多くの人に親しんでもらえれば」と期待を寄せた。

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