1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

どこまでも追ってくる毒親、どうすれば離れられる 被害の当事者が「絶縁の手引き」上梓

産経ニュース / 2024年8月19日 8時0分

「毒親絶縁の手引き」(紅龍堂書店)

子供を支配し、思いのままにしようとする親がいる。成人しても続く嫌がらせ、執拗(しつよう)な追跡…。そんな〝毒親〟から、どうすれば離れられるのか。苦しみ続けた虐待被害の当事者(性別・年齢など非公表)が、毒親と離れる方法を一冊の本にまとめた。自分の人生を守る「マニュアル」ともいえる内容だ。

向けられた狂気

昨秋出版された「毒親絶縁の手引き」(紅龍堂書店)。自身の半生を振り返る形で、毒親である父親と離別に至るまでの経緯が詳細につづられている。

始まりは子供の頃、母が病気で亡くなり、父との2人暮らしが始まったことだった。

月数回しか帰宅せず、食事を作ってくれたことは一度もない。体調が悪くても、病院に連れて行ってくれることもなかった。

無断で健康保険証を使ったことを知ると、金がかかると怒り、「早く扶養から抜けろ」と吐き捨てられた。もらえるわずかなお金をやりくりしながら、日常の全てを自力でこなすしかなかった。

成人して就職を機に一人暮らしを始めると、今度は異常な干渉が始まった。転職を模索していると、どこでその情報を知ったのか、「あいつを辞めさせるな」などと、会社に頻繁に電話をかけてきた。

連絡先を告げずに引っ越すと、住所を突き止められて「勝手に引っ越しやがってこのクソが」などと暴言を浴びせられ、〝報復〟のように大量のゴミを送り付けてきた。引っ越すたびに住所を突き止められ、同じことが繰り返された。

縁を切る方法

「親と縁を切る方法は、日本にはありません」。初めて相談した弁護士からはそう言われたが、情報収集を続ける中で「DV等支援措置」という制度に行き着いた。

ドメスティックバイオレンス(DV)などの被害者が自治体に申請して認められれば、加害者からの「住民票の写しの交付」や「戸籍の附票の写しの交付」などの請求を制限できる。配偶者やパートナー間だけでなく、親子間でも対象となる。

だが、利用には迷いもあった。これまで、自分の家は「どこか変なのかもしれない」と感じてはいたものの、「ただ特殊なだけだ」と受け入れ続けてきた。父からひどい言動を受けても「いつかは分かり合える」と、根拠のない期待を持って。

ただ、公的機関に相談し父から受けてきた仕打ちが「虐待」だったと知った。自分の人生を阻害する存在を「切り離そう」と決意した。

訪れた平穏

毒親と離れる方法を、誰かが指南してくれるわけではなかった。自ら情報をかき集め、必要な手続きをとらなければならなかった。

DV等支援措置の利用申請以外にも、住所が知られる恐れのある不動産登記簿の保護申請、新しい健康保険証の作成手続きなど、やらなければいけないことは多岐にわたった。

DV等支援措置の継続は毎年更新手続きが必要になるが、自治体によっては更新時期が近づいたことを事前通知してくれない場合もある。注意しなければいけないことの多さも実感した。

手探りで一つ一つの手続きを進め、ようやく、穏やかな生活を手に入れることができた。

安全を第一に

上梓した書籍には、手続きを進める上での注意点、離れた後に気をつけなければいけない点など、今に至るまでに自身が欲しかった情報を、専門家の助言を踏まえながら丁寧に書き込んだつもりだ。

「分かり合えない家族もいる。父を捨てることは、自分にとって必要な選択だった」。取材に応じてくれた当事者は、自身と同じく毒親に苦しむ人々について、こう願っているという。

「手にとってくれた方が、この本を使ってもいいし、使わなくてもいい。どうかあなたの安全を一番に考えてほしい」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください