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平安時代は荘園、1100年も地名が受け継がれた山形・遊佐で初秋の松風に吹かれる  味・旅・遊

産経ニュース / 2024年9月14日 12時0分

秋田県境に接する山形県遊佐(ゆざ)町を訪ね、芝生や遊歩道がみごとな森の公園で松風に吹かれ、昔ながらの住宅地を流れる八(や)ツ面(め)川で鳥海山の湧水に心洗われながら、初秋の一日を過ごした。1100年も地名が受け継がれ、平安時代は藤原摂関家の荘園だっただけにみやびさも漂う遊佐町は、ほかにも見どころいっぱいだ

500年かけた砂防林

鳥海山の雪解け伏流水を集める月光(がっこう)川河口近く、国道7号「道の駅鳥海ふらっと」は観光客らであふれる。この駐車場から裏手の細い道を上ると「森の公園遊ぽっと」がある。

マツの巨樹がどこまでも立ち並び、道の駅の喧噪(けんそう)から一転、聞こえるのは松が枝(え)のそよぎと松風が耳をくすぐる音だけだ。

かつて日本海沿岸は強い西風で飛砂(ひさ)が積もり、九州から本州まで鳥取同様の砂丘が連なった。各地の先人が潮風に強いマツを植え続け、300~500年かけて砂防林帯を築き上げた。

森の公園は、庄内砂丘の砂防林を身近に楽しめるよう国立競技場4個分の27万平方メートル余に芝生や遊歩道、遊具などを整備して平成10年に開園した。

滝のように枝を揺らすヤナギや赤いサルスベリがまぶしい園地の東屋に「コーン」という音と歓声が聞こえてくる。

地元のお年寄り6人がグラウンド・ゴルフを楽しんでいる。最高齢の高橋芳三さん(90)は「起伏のある4コース32ホールは県外の人にも人気。ここは雨も少なく12月初めまで毎朝楽しんでいる」。

芝刈り中の公園管理員、阿部文夫さん(65)は「秋が深まり涼しくなるとほかの樹種にはない明るくカラッとした松林のよさを一層実感できる」と話す。

小京都のみやびさ

森の公園を国道345号に出ると、すぐ目の前に鳥海山の全景が広がり思わず息をのむ。そのまま南下して10分、JR羽越線遊佐駅前の無料駐車場に車を止め、徒歩30秒の八ツ面川へ。東南の水田地帯から駅周辺の遊佐元町地区の住宅地を流れ、羽越線をくぐった先で月光川にそそぐ。

同地区だけで300以上の自噴井から日量4200トン、水温11度ほどの湧水が流れ込む八ツ面川は、約1・3キロ区間が親水・生態系保全で整備されている。

駅の上流は流路幅が3メートルほどで桜並木が続き、下流は幅80センチほどに狭まる代わりにさまざまな草花が清流を彩る。ちょうど、羽も体も真っ黒で細身のハグロトンボが飛び交い、きらめく水面の下には水草のバイカモがゆらめく。冷水を好む希少種イバラトミヨや絶滅危惧種ホトケドジョウなど貴重な魚も生息する。

両岸は遊歩道で小橋や水車、東屋もあって小京都の趣。敷地内の自噴井から湧水が流れている本間俊二さん(73)は「去年まで営業した食堂ではこの冷水で麺を冷やした」、妻のたち子さん(72)は「美しい流れを地元の皆が大切にしている」と話す。

ランチはここから徒歩3分の「まるき食堂」のラーメン(700円)。魚介のだしがきき、大ぶりチャーシュー4枚とメンマがのって大満足の一杯だった。

(八並朋昌)

森の公園遊ぽっと、道の駅鳥海ふらっと(0234・71・7222)は、日本海東北道の遊佐鳥海ICから5分。

まるき食堂(昼のみ、同・72・2108)。周辺には真っ青な水面の丸池様、透明な湧水の牛渡川、鳥海山がご神体の大物忌(おおものいみ)神社の蕨岡(わらびおか)と吹浦(ふくら)の口ノ宮、吹浦海岸の溶岩に彫られた十六羅漢岩、富農の屋敷を再生した語りべの館、日本海べりの湯野田温泉から眺める夕日など見どころ多数。【問】遊佐鳥海観光協会(遊佐駅内、同・72・5666)。

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