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売り手市場でも悩み多き学生たち 選考と内定の早期化に翻弄され、不安も 就活リサーチ

産経ニュース / 2024年11月13日 8時10分

グラフィック・惣賀夏美

近年、就職活動は学生優位の「売り手市場」が続いています。ところが、選考と内定の早期化が進んだことでかえって不安を覚える学生は少なくないようです。早期選考に臨むという人も、焦らずに自分と向き合ってみましょう。

令和7年卒業予定の大学4年生や院生の10月時点の内定率は93.1%と過去最高値を更新しました。1人あたりの平均内定数は2.6社で、前年調査よりさらに重複内定が増加しています。

企業は少しでも早く優秀な人材を確保しようと、選考のスピードを上げて採用活動に力を入れています。そういった企業の意欲的な動向に、初めて就活に臨む学生は、翻弄されてしまいがちです。売り手市場で有利な状況なのに、不安に思う学生は少なくありません。

就活を控える8年卒業予定の大学3年生や院生に9月に調査したところ、約85%が就活へ何かしらの不安があると回答しました。

早い時点で決断迫られ、ミスマッチも

選考の早期化と短期化が進み、学生たちは早い段階でさまざまな決定を迫られます。早まるスケジュールに対応しなければというプレッシャーで学生は不安になっています。

企業や職種を絞るには、事前の業界・企業研究や自己分析も早めに行う必要があります。ところが早期選考で内定をもらうと、企業研究の途中だったり、自身の中で志望の度合いが明確になっていなかったりするのに、決断しなければならなくなります。結果、入社後にミスマッチが生じる可能性が高まります。

また学生に積極的にPRしたり、接点を持とうとアプローチしたりする企業が増えたことで、情報を絞り切れず、自分に合う企業が分からなくなることがあるようです。

企業が発信するメッセージや口コミ、ランキングなど情報は豊富にあります。多すぎるために混乱し、判断しづらくなってしまう。加えて、時間がない中で企業を選ばねばならず、負担に感じるのでしょう。

就活では「企業との相性」が重視されますが、その見極めは誰にとっても難しいことです。

社風や文化が自分に合うかどうか、選考の限られた接点だけで判断できないという人も少なくないでしょう。「せっかく内定をもらっても、入社後にミスマッチを感じてしまうのではないか」という不安もつきまとうかもしれません。

企業研究や自己分析を怠らず

こうした不安に対処するためには、業界・企業研究や自己分析を選考途中や終了後においても、絶えず繰り返すようにするしかありません。選考過程で知り得た情報も踏まえ、就職先選びで重視するポイントを絞っていきましょう。例えば、働き方や職場の雰囲気、成長機会などに基づいて企業を選んでいくと、不安が薄れるのではないでしょうか。先輩や大学のキャリアセンターで相談して、実際の体験談に基づいた情報収集をするのも有益でしょう。

企業選びは人生の大きなターニングポイントですが、焦らずに自分と向き合いながら選択していくと、後悔しない決断ができるはずです。

(キャリタスリサーチ 吉田治)

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