地域の原風景おさめた貴重な写真186点寄贈 滋賀・野洲の93歳男性、地元の博物館に
産経ニュース / 2025年1月14日 20時11分
滋賀県の湖南地域の風景写真を昭和20年代から撮り続けてきた同県野洲市在住で元小学校長の藤村和夫さん(93)が、186点の写真を同市歴史民俗博物館(銅鐸博物館)に寄贈した。古き良き地域の原風景を撮影した民俗資料として貴重なものも多く、一部を同館で展示している。
藤村さんは同市出身。写真を撮り始めたのは17歳だった昭和23年で、親からカメラを買ってもらったのがきっかけだった。以来、趣味として70年以上にわたって撮り続けてきた写真を整理していたところ、今では見られなくなった風景を多くの人に見てもらおうと思い、寄贈を決めた。
寄贈された写真のうち12点は常設展示「野洲の歴史と民俗」で2月16日まで展示される。このうち、昭和29年撮影の「足踏み水車」は水路から田んぼに水を引き入れるための装置で、当時は多くの農家が所有していたが、使用している様子を撮影した写真は珍しい。
同じく29年頃撮影の「田舟で牛を運ぶ」は、水路が張り巡らされた当時の湖南地域の風景をおさめたもの。42年頃からのほ場整備で水路は埋め立てられて農道となっており、失われた懐かしい風景を思い起こすことができる一枚だ。
30年代に撮影された「菖蒲(あやめ)浜 貝がらの山々」は、菖蒲の漁師たちが獲ったシジミが「蜆(しじみ)小屋」で身と貝がらに分けられ、行楽客が浜に捨てられた貝がらの山の間を通って浜に向かっていた様子を伝えている。
このほか、30年4月に野洲町が篠原村、祇王村と合併した際の「野洲町合併の祝賀パレード」や、ずいき(サトイモの茎)で作った神輿(みこし)を御上神社(野洲市)に奉納する「三上のずいき祭」(34年10月撮影)をおさめた写真もある。
藤村さんは「多くの人に当時の生活ぶりを見てもらえることを楽しみにしている」と話している。
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