「35年目のラブレター」発刊・映画化記念トークイベント 西畑保さん夜間学級の経験語る

夜間学級のあり方について話す西畑保さん（左）と小倉孝保さん＝奈良市

奈良市立春日中学校夜間学級に６４歳から通った西畑保さん（８８）＝同市在住＝の半生をつづったノンフィクション「３５年目のラブレター」（講談社）の発刊と映画化を記念したトークイベントが２０日、同市内で開かれた。妻に感謝の手紙を書くため読み書きを習い始めた西畑さんと著者の小倉孝保さんの話に、訪れた人たちが耳を傾けた。

イベントは「春日夜間中学を育てる会」が主催。西畑さんは小学校に通えなくなった戦前の事情や、戦後に料理人になり、読み書きができないことを隠したまま結婚し、妻にばれたいきさつなどをユーモアを交えて紹介。夜間学級について「心のふるさと。多くのみなさんと出会えたことが財産」と述べた。

小倉さんは取材時を振り返り、「夜間学級を必要とする人に応えることは社会の健全性の上でも重要だ」と強調した。

書籍は今年４月に発刊。同名の映画は来年３月に公開予定で、西畑さんの役を笑福亭鶴瓶さん、妻を原田知世さんが演じる。