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けがや病気続き仕事に穴 65年来のスキー引退 前立腺肥大の術後、トイレで「狙いうち」 話の肖像画 喜劇役者、劇団SET主宰・三宅裕司<27> 

産経ニュース / 2025年1月28日 10時0分

平成31年3月、制作発表に松葉づえ姿で登壇

《平成23年7月、脊柱管狭窄(きょうさく)症を発症。入院中に「東京喜劇を頑張ろう」と決意した》

翌24年6月に熱海五郎一座の「落語日本花吹雪」(東京・池袋サンシャイン劇場)が待っていました。そこで立ち回りをやるって決めました。

メディアの取材が来たときには、「完全に治ったということを皆さんにお見せするため、立ち回りをやります」と言いました。自分に言い訳をさせないでリハビリを頑張るためにね。

舞台にもう一度、と本腰を入れ直しました。

そんなときに熱海五郎一座の新橋演舞場進出が決まるんです。「まだまだ俺の運はあるぞ」みたいな気持ちになりました。

11月にはスーパー・エキセントリック・シアター(SET)の「上海ローズ」(同)の公演もあったので、劇団のためにできるだけ時間を割くようになりました。

《30年には前立腺肥大症に―》

このときは新橋演舞場で熱海五郎一座の1カ月公演の最中でした。おしっこが外に出ないわけですから、だんだんたまってきて。まだ20ステージくらい残っていました。

「もう無理だ」という感じから千秋楽を何とか終わらせて、先生に電話したら、もう分かっていたようで、「一応、パジャマとか入院の用意もしてきてくれる?」みたいな、すごく軽く言われたんです。

入院は決まっていたんですよ。軽く言ったのは安心させてくれたのだと思います。

エックス線写真を見せてもらうと、尿が腎臓まで届きそうで、もうちょっとで人工透析だったと言われました。

腎臓が悪くなっているので、手術はしばらくできませんでした。点滴で腎臓を治してから手術となったんですが、1回では終わらなかったんです。

先生から「おしっこが出れば大丈夫です」と言われても出ないんです。

病室のトイレへ行っても「あれ? あんまり出ないな」。

そのとき、テレビで山本リンダさんの「どうにもとまらない」が流れていて、「これはネタになるな」と。

リハビリ中もネタをどうしても考えちゃうんですよね。悲しい習性です。

2回目の手術でおしっこが出るようになったら、そのときは山本リンダさんの「狙いうち」がかかっていました。そこは作ったんですけど。

《翌31年にはスキー場で骨折をした》

僕は3歳のときからスキーをやっていたのですが、骨折したのは初めてです。

そのときはゲレンデに子供たちがいたので、滑走中によけたらアイスバーンの上に雪が積もっているところで、油断していたからそのまま転倒して、大腿(だいたい)骨をガーンと地面にぶつけて…。

救助隊員が山頂にあるカフェに勤めている女性で、知り合いだったんですよ。

「おや、三宅さん」

「いいから、運んで!」

近くの病院に1カ月くらい入院して、リハビリをしました。

3月にブルーノート東京(東京・青山)でライト・ジョーク・ジャズ・オーケストラのライブが予定されていて、ゲストがシンガー・ソングライターの中川晃教さんでした。忙しい人ですよ。せっかく予定を入れていただいたのに、泣く泣く延期することになりました。

無理を言って、7月にもう一回、スケジュールを取ってもらったんです。仕事への影響がでかいですよね。こんなに多くの人に迷惑かけるんだと痛感し、65年間のスキーの歴史に幕を下ろしました。(聞き手 慶田久幸)

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