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中央官庁情報 農林水産省 国民の「食」と「環境」を未来に継承 受験ジャーナル

産経ニュース / 2024年12月20日 17時35分

東京・霞が関の農林水産省

国家公務員総合職試験,一般職試験に合格すると,その主な職場は「国の行政機関」である1府12省庁,つまり,内閣府および11省+国家公安委員会(警察庁)となる。さらに各省の下には外局である庁や委員会が置かれており,地方に出先機関を設けている省庁も多い。国家公務員の職場は実に幅が広いといえるだろう。それぞれの官庁が取り組んでいる仕事内容や課題などを紹介する。

農林水産省は,生命を支える源である「食」を将来にわたり支え,安心して暮らせる「環境」を未来の子どもたちに継承していくことを使命としている。この使命を果たすため,現場主義に根ざして生産者の活力を引き出すとともに,食の安全と消費者の信頼確保に努めるなど,生産から消費まで,幅広い視野をもって政策を講じている。

農林水産業は,国民に食料を安定的に供給するとともに,農山漁村・中山間地域の振興,食品産業の振興,さらには国土・自然環境の保全など活力ある地域社会を維持するために大きな役割を果たす,まさに国の基(もとい)である。農林水産業の有する潜在力を最大限引き出し,農林水産業を,若者が夢や希望を託すことができる,魅力のある成長産業にしていくために,輸出による海外食市場の取り込みや加工・流通との連携,IT等の異分野との連携など,常に新しい政策課題に取り組んでいる。

本省の組織

〈大臣官房〉農林水産行政の基本的な政策ビジョンの立案,法令案の審査,予算編成,国会事務,省内および各省庁との連絡調整など,農林水産省全体の政策に関する総合調整を行う。また,災害の予防・対策・復旧,広報をはじめとする情報の受発信,食料安全保障やみどりの食料システム戦略等の環境政策,農林水産分野のデジタルトランスフォーメーション,食に関する新事業の創出や食品産業の振興,農林水産業に関する統計の作成について扱う。

〈消費・安全局〉消費者の視点を大切に,国民の健康を守ることが重要であるという考えの下,「食」の安全と安定供給を確保し,消費者が「食」に対する信頼感を持てるような政策を実施。具体的には,農場から食卓までの安全管理の徹底,食品表示の適正化,家畜や農作物の病気や害虫のまん延防止,望ましい食生活の実現に向けた食育の推進等の政策を担う。また,農畜産物の輸出拡大に向け,諸外国との動植物検疫の協議を実施。

〈輸出・国際局〉農林水産物・食品の輸出額を2030年までに5兆円とする目標の達成に向けて,海外での販売力強化,輸出産地の育成・展開,輸入規制の緩和・撤廃交渉などの取組みを行うほか,日本の強みを守り活かすための知的財産の保護・活用を担う。

また,貿易交渉やグローバルな議論に参画し,わが国の食料の安定供給の確保や世界の食料問題の解決に取り組んでいる。途上国への開発協力も重要な任務の一つ。

〈農産局〉農産物の生産・販売を持続的に拡大し,農業者の所得向上を図るため,農産物の生産振興政策を推進している。また,ロボット等のスマート農業技術やシャインマスカット等の優良品種の導入,農業資材の良質かつ低廉な供給を通じて,低コスト化や高付加価値化等を推進している。さらに,有機農業を含む環境保全型農業の推進や農業生産工程管理(GAP)の普及にも取り組んでいる。

〈畜産局〉畜産物を安全かつ安定的に供給するとともに,畜産農家や関連事業者の経営安定等を図るため,中長期的な展望に立って生産から流通・消費に至る一連の畜産振興施策を推進している。最近は和牛や乳製品をはじめとする国内外からの需要に応えるため,畜産農家の生産性向上につながる取組みを企画・立案するほか,畜産業が将来にわたって持続的に発展し続けるよう取り組んでいる。

〈経営局〉わが国の農業が今後持続的に発展していくように,農業経営の改善・発展に向けた各種施策を行っている。農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積・集約化を進めるとともに,意欲と能力のある担い手を対象とした融資・税制等による重点的な支援や,新規就農対策等を進めている。また,気象災害や価格変動等のリスクに備え経営安定を図るための農業保険の推進や,農協の指導や監督も行っている。

〈農村振興局〉わが国の農業生産の基盤である農地や農業水利施設といったインフラの整備および保全管理と農村の生活環境の整備を進めている。また,美しい景観,伝統的な食,古民家,ジビエといった多様な地域資源を活用した地域の特色ある取組みを支援するとともに,都市と農村との交流促進や,農業と福祉との連携の推進を通じ,美しく活力ある農山漁村をつくりあげることに取り組んでいる。

〈農林水産技術会議事務局〉みどりの食料システム戦略の実現に向け,ロボット・AI・IoT 等の先端技術を活用した「スマート農業」を社会実装するとともに,生産者がデータを活用して,生産性の向上や経営の改善に挑戦できるよう,農林水産分野の研究開発・実証に係る政策立案を担っている。また,農林漁業者等のニーズを踏まえた技術開発,食料安全保障強化に資する新品種開発の加速化,気候変動対策や動物疾病・植物病害虫に係る国際共同研究等を推進している。

●林野庁 国土の7割を占め,二酸化炭素の吸収源としても重要な森林を将来にわたって持続可能な形で適切に管理・利用するための政策立案を担う。先人が植え,育てた豊富な森林資源が利用期を迎えており,この資源を活用した林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ることとしている。具体的には,森林の有する公益的機能発揮に向けた森林整備・保全の推進,山村の振興,国有林野の管理経営,林業の低コスト化や木材の生産・加工・流通体制の整備,さらには木材需要の拡大に向けた中高層建築物への木材利用,改質リグニン等の木材由来の新素材開発等に取り組んでいる。

●水産庁 わが国は,世界で最も漁獲量の多い北西太平洋に位置し,多種多様な水産物に恵まれ,地域ごとに特色のある料理や加工品といった豊かな魚食文化が形成されている。このような中,水産庁は,水産資源の適切な保存および管理,水産資源の安定供給の確保,水産業の発展ならびに漁業者の福祉の増進を図ることを任務としている。特に,近年の海洋環境の変化も踏まえた水産資源の調査・評価や漁獲量の管理といった水産資源管理,養殖の振興,スマート水産技術の活用や輸出の拡大等による水産業の成長産業化,漁港・漁場の整備や海(うみ)業(ぎょう)の振興といった地域を支える漁村の活性化の推進に取り組んでいる。本省に地方農政局(全国7か所),北海道農政事務所が置かれ,さらに林野庁に森林管理局(全国7か所),水産庁に漁業調整事務所(全国6か所)が置かれている。

※なお,試験研究機関は農林水産政策研究所を除いて独立行政法人となっており,採用活動も各法人で行っている。問合せは直接希望する法人へ。

人事データ

配属・移動

おおむね2年程度のサイクルで異動し,さまざまな業務経験を積みながらキャリアアップを図る。総合職は幹部候補生として主に政策の企画立案業務を,一般職は政策の企画立案業務に加え,行政の運営管理業務を担当する。本省のほか,地方農政局,地方公共団体,他省庁,在外公館・国際機関,民間企業等で働く機会もある。また,有志の若手職員がチームを組んで自由に政策提言・発信をできる制度や,農家等に数週間泊まり込んで実際の作業等を体験する研修が用意されている。

昇任

総合職の場合,入省3〜5年目で係長,8年目以降に課長補佐,専門官,企画官などの課長補佐級のポストに就くのが一般的。

一般職の場合,入省後おおむね8年目以降で係長になり,その後は地方機関の課長・部長に昇任する者と本省・庁の課長補佐・専門官などに昇任していく者に分かれる。

採用動向・採用予定

令和5年4月1日付の新規採用者数は総合職が110人(事務系26人,技術系84 人),一般職が348 人(事務系166 人,技術系182 人)。

(公務員試験受験ジャーナル 公務員の仕事入門ブック・6年度試験対応・記事内容を一部編集しています)

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