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「歓迎すべき」「失踪助長の可能性」、増える関西の外国人材 受け入れ新制度に期待と疑問の声 

産経ニュース / 2024年6月14日 20時35分

関西の技能実習生の推移

技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する技能実習適正化法などの改正案が14日、参院本会議で可決、成立した。外国人材の長期就労にかじを切る今回の法改正。労働力不足に悩む関西の製造業者からは歓迎の声が上がる一方、相次いだ実習生の失踪といった課題の解消につながるか疑問視する声もある。

厚生労働省によると、技能実習の全国在留者数は、令和元年10月末に38万3978人だったが、5年10月末には41万2501人と4年間で7%増加。関西2府4県でみると、同時期に4万6502人から5万3267人へと15%増えた。

「日本の若い世代がやりたがらない仕事が多い業種にとっては歓迎すべきだ。外国人にとっても継続して働くことができれば安心できるだろう」。技能実習から切り替わる新制度について、大阪市生野区の金属加工会社「三栄金属製作所」の文敬作社長(65)はそう評価する。

同社は平成19年に実習生2人を採用して以降、ベトナム人の受け入れを継続。31年には在留期間の長い「特定技能」が創設されたこともあり、現在は従業員約100人の半数が同国出身者だ。現場トップの工場長も2人がベトナム人という。

新制度によって長期就労の機会が広がれば、同じ国の出身者が来日してもなじみやすく、外国人材の育成には大きなメリットだ。文氏は「結婚したい、家を買いたいという彼らの夢に応えられればいい」とし、「(外国人材がいないと)大阪だけでなく、日本の製造業はもたない」と強調した。

今回の法改正では、同じ職場で1年以上働き、一定の技能や日本語能力があれば転籍(職場変更)できる。従来は転籍が3年間認められず、劣悪な就労環境から実習生が失踪するケースが相次いだためだが、「(改正が)むしろ失踪を助長する可能性もある」と指摘する関係者もいる。

ベトナム人実習生の相談などに応じるNPO法人「日越ともいき支援会」の吉水慈豊(じほう)代表理事(54)によると、実習生の失踪は年間約9千人。契約通りに賃金が支払われないことやパワハラが原因で、耐えきれずに失踪するケースが多いという。

このため、吉水氏は「転籍希望者への支援態勢はまだ整備されていない。1年で転籍できれば、悪質ブローカーの甘言に乗って失踪する人も増えるのでは」と指摘。「本質的な問題を解決するには、一部雇用側の姿勢を正す制度を国が設計すべきだ」と強調した。

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