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冬のコマツナが家計に優しい理由 キャベツより価格安定、ホウレンソウより「安い傾向」

産経ニュース / 2025年1月19日 8時10分

日光を浴び、たくましく育つ石川農園のコマツナ(寺河内美奈撮影)

キャベツの価格が高騰する中、近所のスーパーで「おすすめ野菜」と販促ポップを掲げた葉物に出合った。コマツナだ。一年中、出回っているが、旬を迎えた寒い冬は養分を蓄え、一段と味わいが豊かになる。同じ葉物野菜なのにキャベツなどと比べて価格が安定し、家計に優しいのはなぜか。理由を探るため、収穫期を迎えたコマツナ農園を訪ねた。

ハウスで茎太く

東京の東端にあたる江戸川区。住宅街の一角に、「石川農園」の広大なビニールハウスがある。

ハウスの中では約3万株のコマツナが収穫期を迎え、石川哲善さんが育った株を引き抜いていた。

天窓や換気装置によってハウス内は暑くも寒くもない25度に保たれていた。水もスプリンクラーで過不足なく与える。キャベツなどほかの葉物野菜が夏場の高温と12月の少雨などの影響で高値となる中、コマツナの価格が安定している理由の一つだ。「露地栽培のキャベツなどとは異なり、ハウスで栽培したコマツナは雨天などの影響を受けにくい」と石川さん。

コマツナの本来の旬は寒い冬だ。「冬は葉を省く必要がほとんどない。寒さのおかげで、害虫対策をしなくて済むし、養分を蓄えて茎が太くなります。冬は収穫量が増えます」。一方、夏は「強い日差しを浴びたり、虫に食われたりしてダメージを受けた葉をかなり取り除かなければならない」という。

同農園で1月に収穫するコマツナは昨年秋に種をまいたもの。しかし秋は暖かくなるとの予報を考慮し、耐暑性に優れた品種「いなむら」を栽培した。「例年はもっと早い段階で、耐寒性に優れた早生品種『はまつづき』をまき始めます。でも今シーズンは暖かいといわれていたので、品種を切り替える時期を遅らせました」と石川さん。

この作戦が奏功し、「暖かい秋」に丈をグンと伸ばした「いなむら」は、1月の寒さで茎を太らせた。「今シーズンは太さと葉の艶が抜群に良好」だという。

栽培効率の良さ

他の葉物野菜と比べ、コマツナの供給が安定している理由は、ハウス栽培のほかにもある。

「種まきから収穫までのサイクルは1~2カ月ほどで比較的早い」と栽培効率の良さを指摘するのは、豊洲市場(東京都江東区)を拠点とする卸売会社「東京シティ青果」の担当者だ。「10年以上前と比べると、年間を通して出荷量が増え、入荷が安定するようになった。このため、価格も大きく上がることは少ない」という。

収穫の安定性は、全国一の産地、茨城県の数字でも明らかだ。「JA全農いばらき」の令和6年4~12月の出荷量は対前年比で1・09倍だった。その要因について、JA全農いばらきの担当者は「春の出荷量が増加したことに加え、猛暑などの影響で作りにくかったホウレンソウなど他の品目から、コマツナへと転換を図った農家も増えたとみられることがある」と説明した。

全国のスーパーで野菜などの産地直送コーナーを展開する「農業総合研究所」の広報担当者によると、コマツナは「価格がホウレンソウより1~2割安い傾向にある」という。財布に優しいだけでなく、くせのない味わいは、鍋の具や炒めものなど幅広い料理に使いやすく、食卓で重宝しそうだ。(竹中文)

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