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「青春18きっぷ余ってるから一緒に乗らない?」はもう昔、サービス変更のたびに使いにくく…

産経ニュース / 2024年11月2日 17時15分

第三セクターでは青春18きっぷが利用できないことを知らせるポスター=令和6年3月、富山県高岡市のあいの風とやま鉄道高岡駅

JRグループは、JR全線の普通・快速列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」のサービス内容を今冬分から変更すると発表した。これまでは、1枚の切符で複数人が利用でき、5日間の期間内であれば連続せずに日にちを空けて使えたが、変更後は使える日が連続した5日間になり、かつ1人でしか利用できなくなる。

利用期間であれば、自由に旅立てるのが青春18きっぷの魅力だった。

JRになる前の国鉄時代、何度もこのきっぷのお世話になった。大学生で時間がたっぷりあったころ、友人から「青春18きっぷが余っているから、一緒に列車に乗りにいかないか」と誘われた。当時は1日券が5枚つづり。3枚を使い、2枚が残っていたのだ。意味もなく、福井へ行き、名物のソースカツ丼を食べ、越美北線というローカル線の旅を楽しんだ。

今回変更された青春18きっぷのサービス内容では、こうした旅はできなくなった。これまでは1枚の切符で5回(人)分の効力があり、好きなときに使ったり、複数人で使用したりすることが可能だったが、新ルールでは思い立って気軽に日帰りの電車旅に出たり、近場の観光地に家族で出かけたりする場面に使用できなくなった。

昭和57年3月に「青春18 のびのびきっぷ」として登場したときから、電車好きだけでなく、一般の人にも「1日乗り放題」は魅力だった。ただ、サービスが変更されるたびに、使いづらさも目立ってきたのも確か。例えば前述の福井旅行の場合、友人と自分は最寄り駅が違うため、異なる行程になるが、1日券を1枚ずつ持つことで問題はなかった。ところが平成8年に5日(人)分を1枚の切符にまとめられ、切り離して使えなくなったため、複数人の旅行は同じ行程であることが必要となった。

さらに各地で整備新幹線の開通により、並行在来線が第三セクター化されることで、青春18きっぷで乗れる区間がどんどん減っているのだ。現在のルールで、大阪から福井へ行く場合、福井県内の旧北陸線は第三セクターの「ハピラインふくい」に移管されているため、この区間は別料金が発生する。青春18きっぷだけでは福井には到達できなくなっているのだ。

今回のサービス内容変更は利用者側のメリットはあまり感じられないが、JR側のメリットとして考えられるのが、青春18きっぷが自動改札機の利用が可能になったことか。従来は切符の使用開始にあたっては駅員や車掌に日付を入れてもらわねばならなかったが、自動改札機の利用によって、改札業務などの省力化を図ることができる。また、使用日が残っている青春18きっぷが転売され、金券ショップに並んでいたことも避けたかったことかもしれない。

自由な旅の味方である青春18きっぷ。さまざまな年齢層が鉄道と触れ合うアイテムのひとつだっただけに、使いづらくなることは残念だ。(鮫島敬三)

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