おもちゃショーでみた「着せ替え人形」最新トレンド 進化する「映え」と「多様性」の対応

バービーは小型化し、リップスティックの大きさに＝29日、東京都江東区

29日開幕の「東京おもちゃショー2024」では、人気の定番玩具である「着せ替え人形」にも注目が集まった。人形に服を着せたりお世話をすることで子供の優しい心を育む玩具として根強い人気で、「リカちゃん」や「バービー」といったロングセラー人形が毎年、世相に合わせて進化を遂げる。今年はSNS投稿者を意識した新たな「映える」演出を可能にした新形態や、人の顔をした人形が苦手な子供に配慮したタイプなど、さまざまな子供の属性に対応する「多様性」を訴求した商品も会場を彩った。

足が組めるリカちゃん

毎年多くの人でにぎわうのがタカラトミーのロングセラー「リカちゃん」のブースだ。最近は人気アニメや企業とのコラボレーションも広げており、さまざまな「映え」のバリエーションを増やしている。

そうした中で、今年9月に発売するのが、関節の数を増やして可動域を広げた新シリーズ「フォトジェニックリカ」（通常モデル3種類、各5500円）だ。

「これまでリカちゃんは多様なポーズをさせるのが難しく、SNSでもポーズは画一的になりがっちだった」と担当者。そうしたユーザーの不満を解消するため、これまでにない可動域で関節が動く「ネオリカ　ボディ」を３年かけて開発。特許取得のこの技術により「足を組んだり、内股で座る動きも可能になった」という。

廃棄生地使った「リカ活」

同ブースで開催された廃棄予定の服の生地を使ってリカちゃんの洋服に作り替えるワークショップは盛況で、大人がリカちゃんと遊ぶ「リカ活」の人気ぶりも際立っていた。

主催したのは体験シェアリングサービスを運営する「ストーリーアンドカンパニー」（東京都）。廃棄物などを付加価値の高い商品に生まれ変わらせる「アップサイクル」活動の一環で、リカちゃんを使って楽しく環境問題に取り組むプロジェクトとして企画された。「廃棄される服の思い出を懐かしむことができ、そこから再生されたリカちゃんの服に新たなストーリーも加わる」と担当者。11月には量販店などでも同様のイベントを実施し、来年3月をメドに本格的に事業化を目指すという。

約４センチの小型バービー登場

多様性に配慮するためさまざまな人種や体形のタイプの人形を展開してきた米国発の「バービー」は、65周年を向かえた今年、これまでにない〝小型〟のバービー人形を展示した。「ミニバービーランド」という新シリーズは、高さ約3・81センチ（1・5インチ）で一般的なバービーの約8分の1のサイズだ。

購入して容器を開けるまで中身が見えない商品で、幅広い年齢層の収集意欲をくすぐる商品設計となっている。リップスティック型の容器から小さいバービーが出てくるギミックなど豊富な仕掛けを用意。販売する米玩具大手マテルの日本法人マテル・インターナショナル（東京）の担当者は、「〝おしゃれ〟というバービーのイメージに合うよう、化粧品に見立てたグッズとして開発した」という。

発売は7月から。価格は770円で、小さなバービーのサイズに合わせた乗り物（990円）やドールハウス（1650円）など世界観を広げるアイテムも用意した。

人間っぽさをコラボで払拭

「〝人間の顔〟の人形を怖がる子供が一定数いて、そうした子供たちの人形への苦手意識をどのように払拭させるか課題だった」

そう話すのは、ロングセラーのお世話人形「メルちゃん」を販売するパイロットコーポレーションの担当者。人間以外の見た目で、子供のお世話をする心を育む形に仕上げるために頭を悩ませたという。

そこで舞い込んできたのが、今年50周年を迎えたサンリオの人気キャラクター「ハローキティ」だった。周年記念に合わせてコラボ商品の開発を提案したところ、サンリオ側が快諾。「メルちゃんのお友達」として、メルちゃんと同じサイズ（高さ26センチ）のキティ人形「おせわだいすきハローキティ」（5500円）を開発した。メルちゃんが使っているすべての衣服の着せ替えが可能で、周辺のお世話パーツを使って楽しむことができる。発売は9月中旬を予定している。

これまで人の顔の人形が苦手だった子供にお世話遊びを提供する新たな玩具として評価され、同商品は「日本おもちゃ大賞2024キャラクター部門優秀賞」を受賞した。