幻の〝初霜漬〟再現に挑戦 調理師学校部長・真嶋伸二さん、水戸徳川家ゆかりの保存食
産経ニュース / 2024年12月13日 15時48分
水戸徳川家から江戸時代には将軍家、明治以降は皇室へ献上されていたサケを加工した保存食「初霜漬(はつしもづけ)」の再現に中川学園調理技術専門学校(水戸市見川)の統括部長、真嶋伸二さん(69)が取り組んでいる。正式なレシピは残されておらず、関係者からの伝聞が頼りだが、「少しでも本物の味に近づけたい」と幻の一品の完成を目指している。
昭和61年まで製造
初霜漬は、茨城県内を流れて太平洋へ注ぐ那珂川で秋にとれるオスのサケが材料。切り身を濃い塩水に丸2日間漬け込み、さらに麹(こうじ)とふかしたコメを混ぜた床に寝かせると塩分と水分が抜けて凝縮された味わいとなり、焼いていただく。
初霜漬を作ってきたのは、代々の当主が菊池七郎兵衛を名乗る水戸の那珂川沿岸の網元。製法は戦後まで受け継がれていたが、昭和61年夏の那珂川の氾濫によって製造道具などが失われ、以来、〝幻の味〟となっている。
3度目の再現挑戦
真嶋さんは十数年前、菊池家の関係者に助言を受けながら初めて初霜漬づくりに挑戦。切り身を最初に漬ける塩水の割合について「水一升と塩七合」と教わった。「それを一昼夜コトコト煮詰めたそうです」
今回の初霜漬づくりは3度目の試みとなる。那珂川のサケは近年の不漁で残念ながら入手できず、青森産の2匹を仕入れた。真嶋さんは鮮やかな包丁さばきでたちまち三枚におろし、半身についている中骨を毛抜きに似た道具「骨当たり」で丹念に取り去ると、さらに塩水に漬ける容器に入る大きさへ切り分けた。
続いてドロッと濃い塩水を容器へ注ぎ、切り身を敷くとまた塩水をかける作業を繰り返す。「手が痛い! 塩が染みますね」と真嶋さんは泣き笑いの表情。
年明けに試食会
塩分濃度の高さを示すように切り身は容器の中でプカリと浮いた。まるでイスラエルの死海の様相だ。「切り身は今は柔らかいが、塩漬けにするとカパンカパンに堅くなります」と真嶋さん。この切り身を取り出し、麹とコメの床へ移す次の作業は16日以降を予定している。
関係者を招いての試食会は来年1月下旬ごろを見込んでいる。「できれば、かつて初霜漬を食べたことのある人の批評を聞いてみたい。『これでは違う』といわれるのか、お墨付きをもらえるか」と真嶋さんは深くうなずく。(三浦馨)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「駆け込み給油」の人が行列 補助金縮小でレギュラー5円値上がり 1月も値上がりの見込み 福岡
FBS福岡放送ニュース / 2024年12月19日 19時32分
-
「5%の塩水」を使えば鮮度と旨味がアップ…築地の元競り人が解説「冷凍マグロを自宅でおいしく食べるコツ」
プレジデントオンライン / 2024年12月13日 18時15分
-
サラダにかけるだけで塩分を減らせる…都営住宅の91歳独居女性が「重宝している」ドレッシングの意外な代用品
プレジデントオンライン / 2024年12月8日 17時15分
-
世界で初めての醸造酒・異を醸す酒『800(ヤオ)』、本格リリースにむけてクラウドファンディングに挑戦中!
PR TIMES / 2024年12月1日 12時45分
-
【北海道石狩市】千人鍋やつかみ取りで旬の秋鮭を堪能! まちのグルメはふるさと納税返礼品に
マイナビニュース / 2024年11月20日 8時0分
ランキング
-
1「1秒でも早く車内を暖かく!」いい方法はある? 車内の極寒を事前に防ぐ「画期的システム」とは? さらに「冬の窓曇り」を対処する方法とは
くるまのニュース / 2024年12月19日 16時40分
-
25000円以下で買える高コスパな「A4サイズ対応トートバッグ」【2024年12月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年12月19日 12時15分
-
3ロシア軍いよいよ限界か?「ソ連の遺産」を食いつぶしたことが衛星画像で明らかに 英国防省が分析
乗りものニュース / 2024年12月19日 12時32分
-
4“妻が不倫に走りやすい夫婦”の特徴。「専業主婦」と「共働き」で大きく分かれる価値観。「物足りない」と思われる夫の例も
日刊SPA! / 2024年12月19日 15時48分
-
5おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月19日 15時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください