1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

試したい新たな写真技術 ミラーレスで戦車の砲弾の撮影にも挑戦、フィルムの良さも 話の肖像画 報道カメラマン・宮嶋茂樹<28>

産経ニュース / 2024年7月29日 10時0分

競争に生き残るためにも「新しい技術は積極的に取り入れたい」と話す(芹沢伸生撮影)

《報道カメラマン一筋、撮り続けること40年。誰もが知る「不肖・宮嶋」の作品とは》

あまり難解な写真は撮っていないつもりです。根本が報道カメラマンで大学で専攻したのも写真技術、自分の写真はオーソドックスだと考えています。今はデジタルの世界で写真に接することが多いと思いますが、最終的には写真展や写真集などで見てもらいたいです。インターネットでは伝わらないことがたくさんありますから。

映画と同じです。スマホの小さな画面で見るのと映画館のスクリーンとでは、比べ物になりません。全く別物じゃないですか。写真は信頼度も違います。印画紙はごまかしがききません。もし合成しても仕上がりが不自然ですぐに分かります。できれば大きなプリントで作品を見てほしいです。

《デジタル写真全盛の今、技術の進化が著しい。新しいものは積極的に取り入れている》

撮影に関しては今、デジタルだからこそできる技術がいろいろ出てきました。例えばミラーレスカメラ。デジタルの中でも全く別次元の世界です。連続撮影は1秒間に20コマ以上撮れるようになりました。フィルムカメラでは考えられない世界です。

そんな機能を使わない手はありません。これまで、戦車の砲弾を止めることに挑戦したりしました。砲弾なんて写らないものと考えられていましたから。発表する写真はオーソドックスですが、新たな技術は積極的に試したいです。従来、撮れなかったものが撮れるんですから。

暗い現場での撮影もそうです。以前は写ってもノイズの問題などがありました。でも、今は超高感度撮影が普通で、かなり暗くても三脚を使わず、手持ち撮影ができます。報道写真の取材現場も以前とは随分、変わりました。記者会見などもストロボを使わず、カラーバランスも気にしないで撮れるようになり、取材対象の表情に集中できるようになりました。

新しい技術を取り入れる理由は「競争の世界」で生き残るためでもあります。他の人が新しい撮影方法に挑戦して、それまでにない写真を発表したら、自分もやらないと取り残されるだけです。それでも「俺はこれにこだわる」というのは古臭い考えだと思います。オートフォーカス(AF)が出たころがそうでした。AFで撮った写真を見下す雰囲気があったんです。でも「自分でピントを合わせるのと機械とで何が違うんだ?」となったら、機械の方が早くて正確でした。

ちなみに、私がカメラをフィルムからデジタルに替えたのは平成15年。結構、遅い方でした。自分が血気盛んだったのはフィルム全盛時代。最近は「自分が20代や30代のときにデジタルカメラがあったら、すごい仕事ができたんじゃないか?」などと考えたりもします。

《フィルムとデジタル、両方を駆使して多くのニュースを記録し続けてきた》

フィルムカメラは、これからは芸術分野に特化していくしかないと思っています。フィルムで写真を学んだ世代としては寂しい限りですが…。でも、時代が変わったのですから、そこはあっさり切り替えないとだめなんでしょうね。フィルムで写真を撮ることが経済的に難しい現状もあります。

写真を学ぶ大学生に購入を勧めるのが気の毒なほど、フィルムは高くなりました。自分のころと比べて何倍もします。売っている店を探すのも大変です。フィルムをどんどん使ってたくさん撮って、写真の腕を上げるという時代ではなくなりました。

ただ、フィルムにはフィルムの良さがあります。暗室でプリントをして、徐々に画像が出てくるときのワクワク感はたまりません。

自分は報道カメラマンとして、フィルムとデジタルの2つの世界を生きてきました。環境が大きく変わり苦労した面もありましたが、両方経験できたのは幸せだったと思っています。(聞き手 芹沢伸生)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください