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被災地の便乗犯防げ 災害大国の課題解消へ 警察庁、能登地震契機に本腰

産経ニュース / 2024年8月27日 8時0分

元日に発生した能登半島地震の被災地で被害につけこむ便乗犯が相次いだことを教訓に、警察庁が大規模災害発生時の捜査体制強化に乗り出している。避難者宅への空き巣や、災害からの復興時に必ずといっていいほど現れるリフォーム詐欺といった犯罪の摘発や、大量の防犯カメラを迅速・効果的に設置する抑止対策にも本腰を入れていく方針だ。

災害発生当初から

能登地震では、松村祥史国家公安委員長兼防災担当相が発生3週間を前にした1月18日の記者会見で「便乗犯罪が24件確認され、うち22件が窃盗だ」とした上で「契約書を交わさず被災者宅にブルーシートを設置し後で高額な工事代を請求する手口など、訪問販売の被害相談が石川県で96件に上っている」と明かし、注意を呼びかけた。

日本は地震大国である上、台風被害も毎年のように発生。近年では温暖化の影響とみられるゲリラ豪雨や線状降水帯の増加もあり、大規模な風水害も相次いでいる。今後も災害便乗犯の取り締まりや抑止は喫緊の課題だ。

このため警察庁は8月、全国47都道府県警に対し、避難で自宅や店舗が無人となることに伴う空き巣・出店荒らし対策として、盗犯捜査のプロを被災地で犯罪行為の取り締まりを行う「特別機動捜査部隊」のメンバーとして事前に選抜しておくよう指示。

また、能登地震では約1千台の防犯カメラを被災地に設置し、抑止効果が出たことから、大量の防犯カメラを迅速かつ効果的な場所に設置する「犯罪抑止部隊」を新設。犯行の瞬間を逃さず捉えて証拠に残すことができる適格な場所を選定し、スピーディーに取り付けることを任務と位置付けた。

警察幹部は「(カメラの設置については)被災者のプライバシーに最大限配慮する」と前置きした上で「有事に部隊をすぐ招集できるよう捜査員を事前に厳選して指定するシステムを導入した。今後、真価が問われるが、期待している」と語る。

点検商法に注意

特に警察当局が警戒するのが、「点検商法」と呼ばれる住宅工事の訪問販売をめぐるトラブルだ。平時から高齢者を狙った犯罪として社会問題化しているが、災害発生時には急増する。

具体的には、悪質業者が「災害でお宅が破損している」と噓を言って修繕工事費をだまし取る詐欺行為や、契約したリフォーム工事が「理由もなくクーリングオフはできない」などと事実と異なる説明をする特定商取引法違反(不実の告知)などがある。

実際、2月7日には石川県警が、能登半島地震で被災した民家の雨漏りを防ぐとしてグリーンシートをかけただけで10万円を請求した男4人を、契約書でクーリングオフ制度を説明しなかったとして特商法違反(不備書面交付)容疑で逮捕している。

警察庁は、こうした悪質行為対策として、詐欺など知能犯捜査のエキスパートや、消費者犯罪に精通した生活経済事犯の捜査経験者を、前述の特別機動捜査部隊に起用する施策も推し進めている。

内偵捜査が必要な特商法違反事件は、災害発生の翌年に摘発件数が増加するケースも多い。

警察庁の統計によると、熊本地震があった平成28年は131件摘発され、うち111件が訪問販売だったが、翌年は164件摘発され訪問販売は147件。北海道胆振東部地震や西日本豪雨のあった30年には120件(訪問販売104件)だったが、翌年の令和元年には132件(同114件)となっている。

捜査関係者は「『火事場泥棒』と呼ばれるように、空き巣はこれまでも被災地で多発してきた。ブルーシートなど訪問販売のトラブルは近年目立ってきており、抜本的な防犯対策を強力に進める」としている。

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