京都と長野の村結ぶ「木賊(とくさ)」 つながった縁、一冊の絵本に
産経ニュース / 2024年7月10日 14時38分
祇園祭の前祭(さきまつり)に参加する山鉾(やまほこ)の木賊(とくさ)山を巡り、京都と長野県阿智(あち)村の関係者が長年交流を続けている。両者を結んだのは、木賊山の由来となったとされる世阿弥作の謡曲「木賊」だ。交流の立役者になった阿智村出身の装丁家、熊谷博人さん(82)=東京都=がこのほど、木賊を翻案した絵本を著した。故郷と京都との関係を「後世に伝えたい」と熊谷さん。10年以上の交流が一冊の本となり、両者の絆をより固くする。
木賊は、幼いころ父と生き別れになった都の少年僧が園原(阿智村)で、トクサ刈りをしていた老人と出会い、親子と判明して再会する物語。トクサはシダの仲間の植物で昔、阿智村の特産品だったという。
熊谷さんが絵を担当した絵本は、園原ののどかな風景や山々を背景に、登場人物がほのぼのとしたタッチで描かれている。祇園祭の木賊山を紹介するページもある。「村の子供たちに京都との関係を含め、村の歴史や文化を知って後世に伝えてほしい」との思いで制作にあたったという。村の小学生に配布し、木賊山保存会にも50部寄贈した。
熊谷さんと木賊山を結び付けたのは、木賊とウサギをからませた伝統文様の「木賊兎(うさぎ)」の存在だ。長年文様の研究を続けてきた熊谷さんが、木賊山の飾り金具に木賊兎があることを発見。故郷と京都の木賊山がはっきりとつながり、平成23年から阿智村と木賊山保存会の交流が始まった。
交流では宵山に訪れた村の有志が、組み上がった山の様子や翁の姿のご神体人形を間近で見たほか、山鉾町のにぎわいも体験。引率した阿智村全村博物館協会の林茂伸代表理事は「木賊の縁で結ばれた京都と阿智村はお互いないものを持っている。長く交流しようと話した」と振り返る。コロナ禍で交流が途絶えた時期もあるが、昨年から再開した。木賊山保存会の吉村拓哉理事長は「いずれこちらから阿智村に行って交流したい。将来は子供たちの交流も実現したい」と話す。
絵本「木賊」は京都市下京区の法藏館が発行。1200円(税別)。(田中幸美)
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