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特殊詐欺、免許返納と並ぶ警察の課題に 上半期の孤独死、半数超が後期高齢者

産経ニュース / 2024年9月16日 8時0分

今年上半期に自宅で孤独死(孤立死)した75歳以上の後期高齢者が、孤独死者全体の半数を超えていたことが警察庁のまとめで分かった。高齢者を巡っては、特殊詐欺の被害防止と運転免許返納が警察の取り組む「2本柱」といえるが、少子高齢化の進展に伴い新たな課題が浮上した形。独居の高齢者は特殊詐欺の格好の「標的」でもあり、関係者は危機感を募らせている。

4人に3人が65歳以上

令和6年1~6月に全国47都道府県警が実施した各種活動について警察庁がまとめた統計によると、警察で取り扱った遺体のうち、自宅で死亡していた一人暮らしの男女は3万7227人だった。

このうち65歳以上の高齢者は2万8330人と76・1%に上り、75歳以上の後期高齢者に限っても1万8962人と50・9%を占めた。

発見時に死後0~1日経過していた高齢者は1万1697人で全体の41・3%。ただ、発見まで1カ月(31日)以上かかったケースも2585人で9・1%いた。

およそ10人に1人の遺体が長期間、放置されていた実態が改めて浮き彫りとなった形。警察幹部は「独居の高齢者対策は緊急を要する」と話す。

狙われる預貯金

一方、今年1~6月の特殊詐欺の被害総額は227億8千万円で、前年同時期の198億円から29億7千万円増加した。

「アポ電」と呼ばれる予兆電話も7万1134件と前年同時期の6万6633件から4501件増。東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、愛知の7都府県で58・2%を占めた。高齢者が狙われる傾向は変わらず、被害者全体の7割に上っている。

高齢者が被害に遭う手口として最も多いのが、自治体や税務署の職員を名乗り「医療費などの払い戻しがある」などと言って自宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」だ。

次いで多いのは、警察官などと偽って電話をかけ「銀行口座が不正に利用されている」などと噓の手続きを説明した上で、キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取る「キャッシュカード詐欺盗」。古典的な「オレオレ詐欺」も根強い。

NTT東日本とNTT西日本は昨年5月から、70歳以上に対し「ナンバー・リクエスト」(電話番号を通知しないでかけてきた相手に、通知してかけ直すよう音声メッセージで応答するサービス)の無償化を開始。警察関係者は「周知のためもっと支援を進める」としている。

「組織を挙げて」

厚生労働省によると、令和4年の高齢者世帯は1693万世帯だが、このうち単独(独居)世帯が873万世帯に上る。警察当局の分析では、高齢者の独居は、認知症の進行や火災、服薬ミス、訪問販売などの金銭トラブルと並び、特殊詐欺被害のリスクが高いとされる。

警察幹部は「高齢ドライバーによるブレーキとアクセルの踏み間違いや逆走を防止する取り組みは交通警察部門の大きな課題。高齢者を狙った特殊詐欺抑止も、依然として刑事警察部門の重要テーマだ」と指摘。

その上で「地区住民や宅配便などの事業者とさらに連携を深め、独り暮らしの高齢者を孤立させないよう努めることが地域警察部門にとって急務。警察組織を挙げて高齢化社会に対処していくことが重要だ」と強調した。

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