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社員は女性が半数、外国籍も…「突っ張り棒」の社長が説く「非合理的組織」のすすめ

産経ニュース / 2024年8月14日 8時0分

講演する平安伸銅工業社長の竹内香予子氏=7月8日、大阪市北区

「突っ張り棒」で知られる平安伸銅工業社長の竹内香予子氏が、大阪市内で7月に開かれた「関西中堅企業の会」(幹事=島田康史・島田商会社長)の講演会で、「成長をうむ『非合理的な』組織開発について」のテーマで話した。主な内容は次の通り。

事業の継続には、さまざまな背景や価値観を持つ人材を取り入れていくことが必要不可欠だ。平安伸銅工業は「突っ張り棒」などの収納用具を手掛けている。平成7年ごろに売り上げがピークを迎えたが、デフレ環境下で価格競争が厳しくなり、新領域の開拓ができずにいた。家業を継いだ22年ごろの売り上げは14億円まで落ち込んでいたが、ダイバーシティー(多様性)を重視した強固な組織をつくりあげ、事業を拡大したことで38億円にまで回復することができた。

新しい事業に取り組む中で社員数も増えた。女性は1割ほどだったが、現在は半数を占める。外国籍の従業員もいる。新卒採用も始め、さまざまな経歴を持つ人が仲間となった。こうした人たちが融合して組織文化をつくることが大事だと考えている。

各企業では「多様性を取り入れるのは正しいこと」という認識はあると思うが、なぜ必要なのかという点についてはなかなか説明できないのではないか。平安伸銅工業では、多様性が会社の掲げるビジョン実現に必要だった。さまざまな価値観が認められる社会において住環境でも多様な暮らし方をかなえたいと考えており、それぞれの視点を生かしたアイデアが非常に重要となった。

例えるなら、でこぼこの石垣を積み上げていくようなもの。レンガのように同じような人材による組織づくりは効率的かもしれないが、新しい事業が始まると対応できなくなったという声も聞く。同じ価値観のブロックを積んで競争力を発揮していた会社も、一見非合理であっても石垣の会社に変えていかなければならない。

多様な背景や価値観を持つ石垣を積み上げ、強固な組織をつくる上で重要なのは、会社のビジョンを従業員一人一人に理解してもらうことだ。私自身や社員が積極的に発信し、目標や価値観を共有する機会を大切にしている。丁寧に従業員に向き合い、企業の価値観と従業員の人生観がシンクロする部分を探している。採用の最終面接では2時間以上をかけ、その人の価値観を深掘りする。多様な人材が活躍できる「石垣の組織」が事業の発展につながっている。(清水更沙)

たけうち・かよこ 昭和57年、兵庫県生まれ。平成18年、同志社大を卒業後に産経新聞社入社。大津支局で記者として県警や行政などの取材に取り組む。22年に「突っ張り棒」で知られる家業の平安伸銅工業に入社。27年には社長に就任し、デザイン性に優れた商品の開発など販路を広げている。

関西中堅企業の会(主宰・産経新聞大阪本社)は、昭和51年の発足以来、優良な中堅企業が切磋琢磨(せっさたくま)する交流の場として、講演会(年4回)や研修視察旅行などを通じ、関西の活性化に取り組んでいます。

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