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昭和の「夏の時刻表」に登場した珍マーク 臨時列車の乗車率増へ「冷」でクーラー完備PR

産経ニュース / 2024年7月20日 12時0分

「冷」マークで冷房のある臨時列車をまとめて紹介していたページ(国鉄監修 交通公社の時刻表1980年8月号)

移動手段の多様化が進んだ現在とは違い、鉄道が大きな役割を果たしていた昭和の時代は夏休みや年末年始、たくさんの臨時列車が故郷や海、山へと走っていた。ただ、いつも運転されている定期列車に比べると乗車率は低く、時刻表では臨時列車の利用を促す記事が多かった。そのひとつが、臨時列車でも冷房がついていることをアピールする「涼風さわやか 夏の臨時列車一覧」だ。

表紙に「夏の臨時列車ご案内」とある「国鉄監修 交通公社の時刻表1980年8月号」(現JTBパブリッシング刊)を開いてみよう。巻頭のお知らせでは臨時列車について「冷房化が進み、新幹線と在来線特急はすべて、急行も比較的夏でも涼しい東北の一部と北海道を除き、冷房車となりました」と紹介。そのうえで、黄色いページにどの列車が完全冷房車であるかをまとめて掲載し、「冷」の文字を使ったマークが涼しさを感じさせている。冷房がセールスポイントになり得る時代だった。

この時代の臨時列車は夜行列車が多い。大阪から九州へは西鹿児島(現鹿児島中央)行きの「明星51号」、長崎・佐世保行きの「あかつき51号」、宮崎行きの「彗星51号」が設定されている。オール座席車で、使用された車両は昭和47年に登場した14系座席車。もちろん冷房車だ。

上野から東北方面への臨時夜行の「八甲田」「十和田」は冷房車の12系か。団体輸送、波動輸送に使われた急行向けの12系、特急向けの14系は臨時列車の冷房化率アップに貢献した。

ただ、定期列車のブルートレインや電車寝台と比べると、夜通しの座りっぱなしはつらい。定期の寝台券が取れず、鹿児島から大阪まで14系の「臨時明星」に乗ったことがあるが、次は絶対に寝台券をゲットしようと心に誓った。

時刻表では設備面では劣る臨時列車の売り込みに躍起だ。夏休みの指定券の取り方を「『八甲田』『十和田』など臨時の急行群が入手しやすい」「急行の指定席は去年より大幅にふえている」と指南している。当時の繁忙期は指定席の確保は大変だったのだ。

この時代の夏の時刻表の表紙で、もうひとつおなじみだったのが「房総各線の夏ダイヤ収録」。首都圏などからの海水浴客に対応するため、内房線、外房線などは臨時のダイヤを組んでいたのだ。昭和55年は7月19日から8月24日まで実施された。目立ったのは特急と急行の合間に運転された臨時快速。内房線は「青い海」、外房線は「白い砂」の愛称がつき、夏らしいムードを漂わせていたが、使用車両は通勤・通学列車に使われた113系。輸送力の確保が最重要だった。

房総夏ダイヤは国鉄からJRに移行した62年以降も続いたが、徐々に縮小。平成に入ってしばらくして実施されなくなった。座席車の臨時特急、通勤車両の海水浴列車。臨時列車は人々に、いくつもの夏の思い出をつくってくれた。(鮫島敬三)

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