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岩手県最高峰の岩手山 26年ぶりに火山活動活発化、突発的な水蒸気噴火に専門家らも警戒

産経ニュース / 2024年10月7日 11時0分

盛岡市を流れる北上川越しに望む岩手山。26年ぶりに火山活動が活発化している

江戸時代に2度の本格的な噴火の記録がある岩手県最高峰の岩手山(2038メートル)で火山活動が26年ぶりに活発化している。国土地理院の人工衛星の観測で地表の隆起が確認され、仙台管区気象台は今月2日に噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」の1から「火口周辺規制」の2に引き上げた。地元の滝沢市、八幡平市、雫石町は岩手山の全登山道で入山規制に入り、紅葉シーズン本番を前に各自治体には問い合わせが相次いでいる。

過去7400年に7回以上の水蒸気噴火

岩手山の噴火警戒レベルが2に引き上げられるのは気象庁が平成19年に5段階の噴火警戒レベルを導入してから初めて。火山活動の活発化によって全登山道が入山規制されるのは10年以来となる。

今回、地表の隆起が確認された岩手山西側の西岩手山の大地獄谷は過去7400年に7回以上の水蒸気噴火を繰り返してきた。

岩手県の火山活動に関する検討会の斎藤徳美座長(岩手大学名誉教授)は「西岩手山では過去3万年から4万年はマグマは出ておらず、水蒸気噴火だけ。おそらく地下の浅い所で熱水あるいは水蒸気がたまって地面を押し上げている」との見解を示し、「いつ噴火してもおかしくない大地獄谷でこれだけ地殻変動が起きている。検討会としても気象台の判断は妥当だと思う」と述べた。

その一方で西岩手山で3200年前に起きた最大規模の噴火で噴石がどこまで飛ぶかを想定して予測図が作成されているとし、「その結果、噴石は温泉地はもちろん住家まで届かない。人の住んでいるところに直接的な影響はないと推定している」と指摘する。

気象庁の噴火警戒レベル2は火口周辺規制だが、岩手県、地元自治体、警察、消防、国の出先機関、自衛隊、火山防災の専門家らでつくる岩手山火山防災協議会(会長・達増拓也知事)はレベル3相当の全登山道の入山規制を決定。「岩手山では構造上、火口周辺だけを規制することは難しく、登山道の入り口で規制するしかない」(斎藤座長)という。

26年前は地震が追い打ち、観光客激減

平成10年の火山活動の活発化で全登山道でも入山規制された。当時、火山活動は6~7月がピークで8月に低下したものの、9月3日に岩手山の南西約10キロを震源とする地震が追い打ちをかけた。山麓のスキー場は早々に次期シーズンの営業中止を決め、観光客の激減を招いてしまった。

今回も紅葉シーズン本番を前に観光面などでの打撃が懸念され、すでに「ホテルとか温泉地とか影響が出てきている。風評被害が出ているという話を地元から聞かされている」と斎藤座長。八幡平市の商工観光課の担当者は問い合わせを受けた際は岩手山は登山できないと伝えるだけでなく、「紅葉の名所の三石山や八幡平は大丈夫」と付け加えているという。

10年に始まった前回の岩手山の入山規制がすべて解除されたのは16年。火山活動は長丁場となり、斎藤座長は「普段の生活でいつもより火山情報に耳を傾けていただきたい」と冷静な対応を呼びかけた。(石田征広)

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