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大河「豊臣兄弟!」の主人公・秀長 市役所に「ドラマ係」が新設された大和郡山の熱狂度

産経ニュース / 2024年7月5日 8時0分

天守台の東側にある石垣。「間近で見られる転用石が多数ある」と話す「郡山城天守台石垣の語り部」の加藤豊二さん=奈良県大和郡山市

令和8年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放映が決まり、豊臣秀吉の弟で主人公・秀長が統治した地、奈良県大和郡山市が盛り上がりを見せている。今年度から市役所に特別部署を設置し、秀長に関する情報発信を強化。秀長時代に築かれた城跡や町割りなどが今も残る市は、ドラマを機に多くの観光客を呼び込みたい考えだ。

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「まさか実現するとは思わなかった…」

放映決定を受け、上田清市長は思わず感激の言葉をもらした。郡山城の城主を務め、大和郡山の基礎を築いた地元の偉人ながら、あくまで世間の秀長に対するイメージは、秀吉の天下統一を支えた「名脇役」。いわゆる王道の主人公からはほど遠かっただけに、喜びもひとしおだ。

市はドラマ放映に乗じてまちを盛り上げようと、企画政策課内に新たな部署「大河ドラマ2026係」を設置。ドラマを活用したまちづくりやイベントの企画、観光客受け入れの準備などを進めている。上田氏は「ドラマをきっかけに、子供たちに町に誇りを持ってもらいたい」と力を込める。

盛り上がっているのは、市役所だけではない。市内唯一の醸造所「中谷酒造柳町醸造所」では、今秋から秀長の肖像画をプリントした2メートル超の日除け幕を店頭に掲示する。

また、秀長の菩提寺の春岳院では、増える観光客にそなえて床などの修繕を計画中。クラウドファンディングで資金を集める予定で、住職の薮中真弘さん(52)は「温和な性格で秀吉を支えた秀長の魅力を知ってもらいたい」と話す。

「賢明な城主」

市民から長らく愛されてきた「秀長さん」だが、どんな人物なのか。市民らがまず思い浮かべるのが、市のシンボルともいえる郡山城だろう。

天正13(1585)年、郡山城に入城した秀長はまず、百万石にふさわしい城郭づくりにとりかかった。石垣には、近くに大きな採石場がない中で墓石や石灯籠などから転用した千を超える石が使われ、往時の秀長の権勢がうかがえる。

ボランティア団体「郡山城天守台石垣の語り部」メンバーの加藤豊二さん(77)は「石垣は異なる大きさの石を組み合わせて小石が挟み込まれており、排水がしやすく地震の揺れにも強い。当時の技術のすごさを感じる」とその魅力を語る。

一方で、秀長はまちづくりにも積極的に着手した。商工種別に職人を同じ地区に集めて独占権を与える「箱本十三町」を造成。当番制で各町が治安や消防、馬の手配などを担う自治制度で、明治維新まで続いた。今も市内には紺屋町や塩町、豆腐町といった地名が残る。

「箱本十三町は町の成長を築く上で非常に合理的な仕組みで、秀長が政治手腕にも富んでいたことが分かる。天正19(1591)年に亡くなるまでわずか6年間と短かったが、職人や商人を尊重した賢明な城主として責任を果たしたことがうかがえる」。奈良大の外岡慎一郎教授(日本中世史)は、秀長をこう評価する。

病床にいた秀吉に代わって総大将として四国に出兵し、長宗我部元親を降伏させるなど、要所要所で秀吉を補佐し、天下統一へ貢献したとされる秀長。決して私利私欲に走らず、並みいる戦国武将たちの意見をとりまとめて調整役に徹したという。外岡教授は「魅力的な人物で、市井に生きる現代の人々にとっても身近な目標になりうる。大河ドラマでどのような秀長像が描かれるのか、とても興味深い」と期待を込めた。(木村郁子)

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