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〝ご褒美〟でさえずり変えるジュウシマツ、音声の使い分け能力明らかに 東北大研究チーム

産経ニュース / 2024年7月3日 10時0分

ジュウシマツがさえずりの中で、特定の部分を意図的に変えられる能力をもっていることが東北大学の研究チームの研究で分かった。さえずりの内容を、目的に応じて柔軟に変えられることを示唆するもので、今後、脳内機構の詳細を明らかにすることで、ヒトの言語の生成・認識能力の脳内機構の解明に貢献することが期待される。

音の並びを意図的に変化

鳴禽(めいきん)類=スズメ亜目=は、さえずりや歌と呼ばれる音声を用いてコミュニケーションをとるが、音の並びを意図的に変えられるかは不明だった。

東北大学大学院生命科学研究科のチームは、さえずりの内容を迅速に識別するコンピュータープログラムを作成。ジュウシマツが発する自然なさえずりを解析した結果、鳴禽類はさえずり中の音の並びを意図的に変えられることが判明。鳴禽類の音声コミュニケーションの特性を明らかにする成果だという。

鳴禽類に分類されるいくつかの鳥類は、さえずりと呼ばれる複雑な音素のシーケンス(連続や順番)などでコミュニケーションすることは知られていた。カロライナコガラは、警戒すべき相手に応じて警戒シグナルとして発する音声中の音の並びを変える。しかし、仲間の鳥に具体的な警告を出しているものなのか、恐怖など情動の程度の違いによって結果的に変わっているのかは不明だった。

さえずりの音素をテキストに変換

ジュウシマツは多彩なさえずりを使い、コミュニケーションをとる鳴禽類の一種としてして知られる。

研究グループは、小鳥のさえずり中の音素を迅速にテキスト化するコンピュータープログラムを開発し、ジュウシマツがさえずり中に発する音素の並びを、意図的に変えられるのかを調べた。

このプログラムは、「あいうえお」といった人間の言葉を構成する音に相当するさえずり中の音素を、高精度で識別し、テキストに変換することが可能。変換は発声後数ミリ秒(ミリ秒=1秒の1千分の1)以内という速度で実行できる。この技術で、ジュウシマツの発声を検知後に即座に発声内容の解析を行い、内容に応じたフィードバック情報を返せるようになった。

音声を柔軟に使い分け

ジュウシマツに、特定の行動をした際にのみ報酬を与える条件づけを実施。その後、ジュウシマツは条件づけ前に比べてさえずり中の繰り返し音を増加させることや、またさえずりの変化は条件づけの標的とした部分のみで起こることなどから、目的のためにさえずりの内容を変化させる能力があることが明らかになった。

ジュウシマツが人間の言葉のように、柔軟に音声を使い分ける能力は、ヒトの言語コミュニケーションに近い可能性があることを示している。

研究チームの安部健太郎教授は「脳の理解によって、人工知能とヒトがどのように違うのか、どこが同じなのかを理解でき、より『人間らしい』人工知能もできるでしょう。ヒトと動物は脳内の情報処理に大差はないため、応用すれば、ヒトとほかの動物(小鳥)とのコミュニケーションにも役立つと考えます」と話している。(菊池昭光)

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