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熱中症・認知症予防に「大人の塗り絵」 介護事業所経営のイラストレーターが30種類考案

産経ニュース / 2024年9月1日 12時0分

デイサービスの利用者が色塗りした大人の塗り絵 =8月19日、大阪市東成区(格清政典撮影)

お年寄りもなじみやすい和風のイラストに思い思いの彩色をしよう。大阪市東成区で訪問介護事業所を経営するイラストレーター、神野(かみの)正彦さん(64)が、高齢者らを対象に「大人の塗り絵」と題する作品30種類を発表した。夏場の熱中症に注意を呼びかける内容で、独特のタッチで神野さんが描いたイラストに自由な発想で色を塗ることができる。神野さんは「手先を使うことで、認知症予防にもつながれば」と話している。

歌舞伎役者のような男性が水を飲む姿、和服姿の女性が水をまく姿-。神野さんがイラスト原画を手掛けた作品には、いずれも「気をつけて!熱中症!」との呼びかけが組み込まれ、「水を飲もう」「水分補給も塩分捕球も」「熱や日差しから守ろう」と具体的な対策も書かれている。神野さんは「浮世絵をイメージした」とし、1枚につき数時間をかけて描いたという。

配色考え手先動かす「頭の体操」

40代で大手企業の営業職から東成区内の介護事業所の管理者に転じた際、デイサービスの利用者が塗り絵に夢中になっている姿を見かけた。色を塗る行為は配色を考えて手先を動かすため、高齢の利用者にとって「頭の体操」にもなる。もともと絵を描くのが好きだった神野さんは、ボールペンで簡単なイラストを描いた紙を渡すと、利用者は喜んで色鉛筆で塗っていたという。

その後、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得した神野さんは、訪問介護会社「アリス」の代表として、約5カ所の事業所を経営するように。そのかたわらでイラストも描き続け、東成区役所や大阪府警などからイラストレーターとして作品の依頼を受けることもあったが、塗り絵に夢中になっている利用者たちの姿がずっと頭をよぎっていた。そこで、大人でも親しみやすい和風のイラストで、高齢者に被害の多い熱中症に対する注意喚起を含む「大人の塗り絵」を思いついた。

第2弾以降も広がる可能性

「デイサービスの利用者たちにとって、塗り絵をしながら熱中症対策を覚えることができるし、手を動かして色を塗っていれば認知症予防にもつながる」と神野さんは説明する。ケアマネジャーと会話をしながら塗り絵をすることで、利用者らとの円滑なコミュニケーションの構築にもつながるとしている。

実際、自身が経営しする介護事業所で利用するだけでなく、知人のデイサービスセンターや介護施設などにも提供したところ、塗り絵を楽しむ利用者が見られるようになって好評だったという。そこで、今夏に専用のホームページを作成し、それぞれの作品を無料でダウンロードできるようにした。「どんな色を塗るのかは、描く人たちの自由。より多くの人に使ってほしい」と神野さんは語る。

第1弾のテーマは熱中症対策だったが、神野さんの頭の中には第2弾以降を展開していく上で「大きな可能性」が浮かんでいる。

「塗り絵をしながら注意喚起ができることから、特殊詐欺対策や火災予防などにも効果があると思う。さらには、孤独死対策につなげることができるかもしれない」(格清政典)

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