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元祖マルチアーティスト、竹久夢二 生誕140年記念展を盛り上げる大学生の力

産経ニュース / 2024年8月22日 8時0分

《アマリリス》発見の報道発表=令和5年12月18日、岡山市中区

「大正ロマン」を代表する元祖マルチアーティスト、竹久夢二(1884~1934年)の「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」巡回展が開かれ、脚光を浴びている。9月7日~12月8日に開かれる出身地・岡山県の夢二郷土美術館(岡山市中区)では、地元の大学生らが、開設されるポップアップミュージアムのサポートなどで協力し、若い感性を発揮している。小嶋ひろみ館長代理・学芸員は「夢二への先入観のない若い感性により型にはまらないアイデアで花を添えてくれた」と喜んでいる。

美術館外でも情報発信

大学生が協力するポップアップミュージアムは、8月24日から岡山市北区の複合型商業施設、杜の街グレースにオープン。美術館外からの情報発信の新しい取り組みとして10月27日まで開催される。

木版画56点の展示や140年記念グッズ販売、ワークショップをサポートしようと、大学生23人が「椿隊」を結成。岡山大学で昨年度実施された「地域社会とミュージアム」の講義で、学生による美術館・博物館へのプレゼンに小嶋さんが感銘を受け、協力を仰いだ。

岡山大を中心に山陽学園大、ノートルダム清心女子大(いずれも岡山市)の学生が参加。夢二のデザイン柄を生かした缶バッジやストラップの制作に取り組んだ。

リーダーの岡山大2年、水田孝貴さん(19)は「ふだん美術館に行かない人にも来ていただき、YUMEJI展に行きたいと思ってもらえれば」と意気込む。

夢二の印象について水田さんは「より多くの人に見てもらいたいという思いが感じられ、人に寄り添った芸術家。当時の美術界の流行に合わせるのでなく普遍性を求めており、現代も愛されていると思う」とし、「女性画は一見すると物腰が柔らかく悲哀に満ちているが内側に人間の芯の強さを感じる」と分析する。

フォトスポットが人気

一方、郷土美術館でYUMEJI展直前の9月1日まで開催中の記念企画展「YUMEJI×FASHON」には、就実短期大学(岡山市)の生活実践科学科、久保美沙登ゼミの12人が特別サポーターに任命された。

フォトスポット、交流サイト(SNS)、ワークショップの3チームに分かれ、開催前に週1回のグループワークを行い、アイデアを練った。

フォトスポットは、竹久夢二の写真パネルの腕を加工して、来館者が手に合わせて撮影することで夢二とハートマークを作れる仕掛け。背景に夢二がデザインした千代紙「椿」と「いちご」を組み合わせたタペストリーを設置したほか、ファッション小物も制作。SNSチームはインスタグラムで発信し、ワークショップでは夢二デザインの柄をあしらった人形用のドレスを小学生らとつくった。

小嶋さんは「私たちにはない発想。若い人は夢二と同じように流行に敏感で、流行をうまく取り入れた。参加者が気軽に楽しめるものになった」と話す。

夢二の油彩画に迫る

夢二は現在の瀬戸内市に生まれ、詩人・文筆家、画家、デザイナーなどとして才能を開花させ、甘美で叙情的でロマンティックな印象がある「大正ロマン」を代表する存在に。小嶋さんは「デザイン性の高さ、人の心を叙情的に描く作品で人気の作家」と説明する。

YUMEJI展は東京庭園美術館(今月25日まで)に続いて郷土美術館で2カ所目。来年にかけ大阪や富山などで計画されている。

「夢二式美人」と呼ばれる独特の女性描写が有名。郷土美術館の所蔵品を中心に、サテライト会場の夢二生家記念館・少年山荘(瀬戸内市)と合わせて、新たな視点と研究から選んだ作品や資料約270点で、その生涯をたどる。夢二の油彩画は希少で、現存する約30点のうち十数点を紹介し、知られざる油彩画家としての一面に迫る。

目玉は初公開となる大正中期の油彩画《アマリリス》。縦約60センチ、横約40センチ。アマリリスの花と着物姿の女性が描かれている。長く所在不明になっていた作品で、小嶋さんは「夢二のモナ・リザともいってもいい傑作」。ほかに、米国で発見された油彩画《西海岸の裸婦》や、外遊時のスケッチ帖や素描の一部が初公開される。(和田基宏)

開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館(祝日・振替休日の場合は翌日)。入館料大人800円・中高大学生400円・小学生300円。

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