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引っ越しはストレスかかる一大イベント 猫さんファーストを心がけ、逃亡と熱中症に要注意 ねこから目線。の現場から

産経ニュース / 2024年12月28日 12時0分

多頭飼いの場合、基本的には一匹ずつキャリーケースに入れての引っ越しをオススメしています

新年から春にかけて、引っ越しのシーズンですね。引っ越しは猫さんにも負担の大きいイベントです。「猫と一緒に引っ越すんですが、どんな段取りで進めたらいいでしょう?」という相談が寄せられることも多いです。今回は、大切な猫さんと安全に引っ越すためのお手伝いの様子を紹介したいと思います。注意すべきは「脱走」と「熱中症」の2点です。

猫さんの脱走事故が最も起こりやすいのは、荷物の運び出しのタイミングです。実際、対応した迷子猫捜索での脱走理由に、「引っ越しの最後に猫を移動させようと思っていたが荷物の運び出しの時に逃げてしまった」「荷詰めしていたら、猫さんが行方不明になってしまった(後に洗濯機の中から発見)」というものがありました。

また、引っ越しの最後に猫さんを移動させようと思っていたところ、普段と違う家の状況に猫さんが興奮状態になり、普段は触れるのに室内で捕まえられなくなることも多く、引っ越しに伴う緊急の室内捕獲依頼は年間10件ほどあります。

こうしたことを考慮すると先に猫さんを移動させる方が負担は少ないので、引っ越し前日または当日朝に猫さんの引っ越しを相談します。引っ越し先で脱走しないよう、安全な隔離部屋か2段以上で数日ストレスなく過ごせる広さのケージを用意しておくと安心です。

移動の際は必ずキャリーケースを使います。ハーネスや首輪にリードをつけて抱っこで移動するのは非常に危険です。猫が本気になれば、ハーネスも首輪もほぼ100%抜けます。キャリーはできれば、ソフトタイプ(布とチャック製)ではなくハードタイプ(プラスチック製)がオススメです。

当日スムーズにキャリーに入ってくれるよう、1週間前からキャリーの扉を開けたままにし、ベッドとして慣らしておくのもオススメです。まだ”人馴れ修行中”で飼い主さんも触れない子の場合は、引っ越しに合わせて室内捕獲からお手伝いしています。

1時間以内程度の移動なら、60センチ四方の目の粗いタイプの洗濯ネットに入れてキャリーに入れると一番安全です。ただ、長時間の移動の場合は熱中症の危険があるため、ハードタイプのキャリーにそのまま入れ、空調が効いた車で移動しましょう。キャリーのドアが開いてしまわないよう、養生テープなどを使って扉を補強します。

移動で緊張状態にある猫さんは体温が上がりやすく、短時間に重度の熱中症になってしまうリスクがあります。車のトランクに入れての移動や、キャリーの密閉は命にかかわる危険があります。真夏の引っ越しの場合は車内の空調が効いてから猫さんを乗せます。温度は人間には少し寒いくらいに設定します。長距離の移動では1時間おきにサービスエリアに停車し、猫さんの様子をチェックします。

おうちに到着したら、ケージや部屋に猫さんを入れてお手伝いは完了ですが、猫さんは環境の変化が苦手な動物です。新しい空間が広ければ広いほど、慣れるまでに時間がかかります。そのため、荷物の運び入れが終わってもいきなりフリーにせず、隔離部屋やケージの中で食事とトイレをするまでは狭い環境で過ごしてもらいましょう。ここを失敗すると、粗相の癖がついてしまったり、体調を崩してしまったりする可能性があります。

ケージを使う場合は荷物搬入時に大きな布で覆い、少しでも落ち着けるようにしてあげてください。時々、「何が起きているか見えない方が不安だと思うから」とキャリーにもケージにも覆いを一切使用しない方もおられますが、猫は「見たい」より「隠れたい」動物です。猫さんが少しでも「隠れられている」と思えるように配慮してあげてください。

皆さんの大切な猫さんとの安全なお引っ越しに役立てば幸いです。

大阪を拠点に、猫にメリットがあると思えることなら何でもお手伝いする「猫の便利屋さん」を営む小池英梨子さん。ネコの目線で取り組む活動から見えるあれこれを、月1回つづってもらいます。

小池英梨子

立命館大学大学院応用人間科学研究科対人援助学領域修了。「ねこから目線株式会社」(大阪市)代表、「人もねこも一緒に支援プロジェクト」(NPO法人)代表。平成16年から猫の保護譲渡やTNR活動をスタート。大学院でノラ猫をテーマに「共生と共存社会のリアリティ」について研究し、29年に猫の多頭飼育崩壊など、ヒトの福祉と猫問題への並行支援が必要なケースに対応するため「人もねこも一緒に支援プロジェクト」を立ち上げる。30年に保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」を設立。京都、福岡、沖縄にも拠点を置き、ライスワークもライフワークも猫にまみれている。

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