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平和への願いを込め、ねぶた師として今夏デビュー 陸自青森駐屯地に所属する小財覚さん(44) 令和人国記

産経ニュース / 2024年7月27日 8時0分

東北を代表する夏祭り「青森ねぶた祭」(8月2~7日)で今夏、一人の男性が大型ねぶたを制作するねぶた師として新たにデビューする。陸上自衛隊青森駐屯地に所属し、青森自衛隊ねぶた協賛会のねぶたを手掛けた小財覚さん(44)だ。題材は北方の守り神「玄武(げんぶ)」が戦争や紛争、災害を抑え込む姿をダイナミックに表現した「北方守護 玄天上帝(げんてんじょうてい)」。祭りを直前に控え「北の守りに奮闘する自衛隊の姿と平和への願いを感じてほしい」と意気込みを語った。

先輩の退官 契機に

昔、青森市に「ねぶたの里」(ねぶたの観光施設)というのがあって物心ついたときに親がよく連れて行ってくれました。その頃、ねぶたを見ると泣いていたらしいですが、気付いたらいつしかねぶたのとりこになっていました。ねぶた師が格好良くて憧れの存在でした。いつか自分も作りたいなと思うようになりましたね。

ねぶた師の中でも特に内山龍(りゅう)星(せい)さんのデビュー作に衝撃を受け、高校生になって内山先生のねぶたの制作小屋に通っているうちに「やってみないか」と声をかけられました。高校2年生の時に全国の小中学生を対象にした、ねぶたの下絵コンクールというのがあって、小学生の部の最優秀賞作品を題材にねぶたを作ったのが最初です。ある意味、これがデビュー作ですかね。

大人になって自衛官を志したのは、自衛隊がねぶたを出している団体だということもあったんですが、体を動かすことが好きだったのと、世の中の役に立てるような仕事をしたいと思ったのがきっかけです。

入隊してからもずっとねぶたには関わっていて今年、先輩が退官したのをきっかけに青森自衛隊ねぶた協賛会のねぶたを本格的に作りました。

じょっぱり精神で

青森県民は恥ずかしがり屋なんだけど、内なる闘志があり「じょっぱり(意地っ張り)精神」があります。そうじゃないと、ねぶたは作れないと思いますし、青森市民にとってねぶたは魂だと思います。私にとってはなくてはならない存在ですし、伝えていかなければなりません。大事な役目だと思っています。それと、昔の伝統を守りながら新しいものを取り入れていく、いわゆる温故知新ということも必要ですね。

自衛隊のねぶた制作は、5月の連休前から始まりますが、この期間に感じるのは、効率性や手順を綿密に考えるという作業が本来の任務にも通ずる部分があるということです。物を作るということからすれば、災害の時にもし何もない状態で何かを作らければいけない場合は、工具の使い方も覚えておかないといけないので、ねぶた制作が役に立っているのかなと思います。また、ねぶた祭を通して地域とのコミュニケーションも自衛隊のPRになりますし、地域の人たちの理解があってこその自衛隊だと感じます。

師匠の内山先生からは昨年12月に「龍玄(りゅうげん)」の雅号をいただきました。先生からは「『玄』は私が自衛官でもあるし、北を守る『玄武』から取ったんだよ」と教えられました。題材には世界各国で起きている戦争や紛争、大規模地震、自然災害に備えて奮闘する陸上自衛隊第9師団の姿と厄災を抑え込む玄天上帝の姿を重ね合わせ、日本の平和と繁栄、世界平和への願いを込めましたので、それを感じてもらえればうれしいですね。

後継者育成が重要

今年は初めて土俵に上がるので、ねぶたを作れるだけで満足ですが、今後はさらにお客さまに喜んでもらえるようなねぶたを作りたいというのと、将来的な夢はやはり後継者を育成するということです。後継者を育てて次世代に世界に誇れるこの祭りを伝えていくということが一番、重要だと感じます。

ねぶたにはそれぞれ、ねぶた師の個性があります。師匠は内山先生ですが、これからはプラスアルファで、一目で小財覚のねぶただと分かるねぶたを作ることを目指していきたいですね。

(聞き手 福田徳行)

こざい・さとる 昭和54年、青森市出身。高校卒業後、陸自第9師団(司令部・青森市)に入隊。青森駐屯地第9通信大隊、第9後方支援連隊、現在は第5普通科連隊広報陸曹。ハイチで発生した地震の被災者支援のため、平成22年8月~23年2月まで国連平和維持活動(PKО)に参加した。

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