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「全国最下位」返上なるか 最低賃金893円の岩手県で知事自ら労働局長に改正申し入れ

産経ニュース / 2024年7月24日 12時0分

岩手地方最低賃金審議会会長の丸山仁岩手大教授に最低賃金の改正を諮問する粟村勝行岩手労働局長(右)=盛岡市(石田征広撮影)

最低賃金が893円と単独で全国最下位の岩手県で、最低賃金改正の行方に関心が集まっている。岩手労働局(粟村勝行局長)が今月5日、岩手地方最低賃金審議会(会長・丸山仁岩手大教授)に最低賃金の改正を諮問。中央最低賃金審議会が7月末に示す改定額の目安を受け、岩手地方最低賃金審議会が8月末の答申でどんな改定額を提示するのか。「単独全国最下位」を返上すべく、県や県議会も活発に動いている。

隣県とも賃金格差

今年5月29日、達増拓也知事が岩手労働局に粟村局長を訪ねて令和6年度岩手県最低賃金の改正について直接申し入れをした。県によると、最低賃金の改正について知事自らが岩手労働局に出向いて直接申し入れをするのはこれが初めて。

異例の申し入れは冒頭の撮影を除いて非公開。しかし、達増知事が岩手労働局長に手渡した同局長と岩手地方最低賃金審議会長宛ての「令和6年度岩手県最低賃金の改正等について」の文書が岩手労働局のホームページに公開されている。

「本県では人口の社会減が続いており、特に18歳の進学・就職期、22歳前後の就職期の転出が顕著になっています。地域経済を持続的に発展させていくためには、県民一人ひとりが必要な収入や所得を得られていると実感できる岩手の実現を図っていく必要がある」

「しかしながら、令和5年度の岩手県最低賃金の改正では、国の中央最低賃金審議会が答申した目安額どおり39円プラスされたものの、全国で単独の最下位となり、都市部のみならず隣県との格差が生じております。最低賃金が全国最下位であるという現状を勘案いただき、地域別最低賃金の改正に向け、十分な議論をお願い申し上げます」

要は単独の全国最下位の返上要望で、岩手県議会が3月下旬に岩手労働局長と岩手地方最低賃金審議会長に提出した意見書は「令和6年度の岩手県最低賃金の改正に当たり、その引上げ等について、適切な措置を講ずるよう強く要望する」とより強く最低賃金の引き上げを求めている。

地域差は答申の日付も影響?

県関係者が抱く懸念の背景には、令和5年度の最低賃金の決まり方もあるようだ。

地域別最低賃金は高い順にABCの3ランクに分類されている。最も高いAランクは首都圏と愛知、大阪の6都府県。岩手県は最も低いCランクだ。

令和4年度の最低賃金は853円が全国最下位で、青森、秋田、高知、愛媛、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の10県。愛媛を除く9県がCランクだ。岩手は同ランクながら、山形、鳥取、大分と同じ854円だった。5年度は、これら計13県に一気に追い抜かれた格好だ。

岩手県の最低賃金が単独で全国最下位になったことについて、岩手地方最低賃金審議会の労働者代表委員の佐々木正人・連合岩手副事務局長と使用者側代表委員の藤田芳男・県経営者協会専務理事は「しっかり議論し、結果がそうなっただけ」と口をそろえる。

一方で、「マスコミにたたかれ、労組からも批判が集まる最下位だけは避けたいという気持ちが働くこともある」という関係者も。実は岩手の令和5年度の答申は8月8日で、秋田が目安額を5円上回る897円を8月7日に答申した以外は8月9日以降の答申だ。改正額も896円の沖縄や899円の大分以外は、高知・宮崎・鹿児島・愛媛が897円、青森・長崎・熊本が898円、佐賀・山形・鳥取が900円で横並び。

政府が産業界に賃金の引き上げを求め、それに呼応するように賃上げを表明する企業が相次ぐ中で、今年はどんな決着になるのか注目される。(石田征広)

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