原子炉格納容器内は夏のような暑 東電、柏崎刈羽原発7号機を公開 再稼働の準備アピール
産経ニュース / 2024年11月17日 12時0分
東京電力は11月上旬、再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)7号機の原子炉格納容器の内部など、普段入ることができない場所を報道機関に公開した。安全対策の徹底ぶりや、厳重な入退構管理をアピールするのが目的とみられる。この原発には何度も入っているが、これまでと違う雰囲気が漂っていた。
まずは同原発近くの来訪者用施設で、東電幹部から7号機に関する簡単な説明を受けた。福田俊彦原子力・立地本部長は「今年4月に燃料を装荷し、設備の健全性を確認してきた。技術的には再稼働の準備が整った状況にある」。再稼働への地元同意を得られるなどすれば、いつでも動かせることを強調した。
報道機関の一行はここからバスに乗り、原発敷地内へ。警備員による厳重なチェックが幾重もあり、以前より明らかに厳格になっている印象を受けた。
写真NGの箇所も
最初に向かったのは原発を操作する中央制御室。令和2年に東電の社員が他人のIDカードを不正使用して入室し、問題化した施設である。壁面のパネル中央には緑のインジケーターが光っていて、原子炉内の核分裂反応を制御する制御棒が完全に差し込まれ、炉が完全に止まっていることを示していた。
「18人からなる運転員の班が5つあり、2交代制で勤務ローテーションを回している」と同原発幹部。
中央制御室には、核物質防護の関係で写真に撮ってはいけない箇所もあり、その箇所を外してシャッターを切った。
福島事故の教訓
続いて制御棒の駆動装置を見学。原発は有事の際、制御棒を差し込んで核分裂反応を止め、冷却水で燃料を冷やし、放射性物質を外に出さないよう閉じ込めることで安全を確保するようになっている。安全確保の第一関門が制御棒であり、その駆動装置は重要な役割を担う。
次に、平成23年の福島第1原発事故を教訓に新設された「高圧代替注水系ポンプ」を見た。福島第1原発では全ての電源喪失という最悪の事態に陥って燃料を冷やすことができず、重大事故に至った。新設設備は、原子炉内の蒸気を利用してポンプを回し、電源がなくても原子炉内に冷却水を注入できるという。
放射性物質を閉じ込める役割を担う設備の一つが、「ドライウェル用ベント出口隔離弁」だ。有事の際、原子炉格納容器内の放射性物質を含むガスの一部を外に逃す役割を担う。容器が高温・高圧なガスによって壊れ、甚大な被害が出るのを防ぐ。外に逃したガスはフィルターベントと呼ばれる設備を通し、放射性物資を1千分の1以下に低減した上で外部放出する。
原子炉格納容器の中へ
放射線管理区域になっていてめったに入ることができない原子炉格納容器の内部にも足を踏み入れた。内部は結構な暑さで、黙っていても汗がにじみ出てきた。原子炉からは銀色のパイプが何本も伸びていた。
最後に、使用済み燃料を保管するプールを見た。7号機のプールには2572本の燃料を保管でき、9月26日時点で全体の96%程度が貯蔵済みとなっていた。再稼働を見据えて貯蔵できる量を増やすため、「7号機のプール内の使用済み燃料を他の号機のプールに移したり、青森県にある使用済み燃料の中間貯蔵施設に搬出したりしている」(東電担当者)という。
構内では、協力企業も含めて1日約4千~5千人が働いている。その動きを見ていると、再稼働への準備が着々と進んでいることがうかがえた。(本田賢一)
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