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木の玩具で遊べる「おもちゃ美術館」が来春関西に ボランティア学芸員や障害者が活躍

産経ニュース / 2024年10月14日 14時0分

遊びの案内人となるおもちゃ学芸員の養成講座。来春までにボランティア約150人を育成する予定だ=奈良県三郷町

廃校などを活用し、良質な木のおもちゃを集めた「おもちゃ美術館」が各地に誕生している。平成20年に移転オープンした「東京おもちゃ美術館」(東京都新宿区)の姉妹館で、現在は岩手県花巻市、長野県木曽町など全国12施設に広がった。幼少期から木や森に触れて豊かな心を育てる「木育」が大きな軸となっており、来春には関西で初めて奈良県三郷町にも「奈良おもちゃ美術館」がオープンする。吉野杉の香る館内は、ボランティアや障害者の活躍の場にもなる。

奈良の伝承遊び、吉野杉の積み木

奈良おもちゃ美術館ができるのは、奈良学園大が土地と建物を町に無償譲渡したキャンパス跡地「FSS35キャンパス」。町は数年後のグランドオープンを目指し、民間と連携して健康交流、教育研究、産業振興などのゾーン別に整備を進めており、このうち元図書館の2階部分約600平方メートルがおもちゃ美術館となる。

「0歳~100歳まで楽しめる」がコンセプトで、床や壁には奈良県産の吉野杉やひのきなどを使用。奈良の伝承遊びや吉野杉の積み木で遊べるコーナーも作り、地域の子供たちや子育て中の親たちが交流を深められる空間をめざす。

初年度の目標は来館者6万人。木谷慎一郎町長は「三郷町は京阪神からのアクセスが便利なことが大きな強み。おもちゃ美術館によってにぎわいを創出し、町民の郷土愛を育み、町のPRにもつなげていきたい」と期待を込めた。

増え続ける廃校を美術館に

「施設を新たに造るのではなく、どの美術館も廃校などを生かして生まれ変わらせるのが特徴です」。全国のおもちゃ美術館を手掛けるNPO法人「芸術と遊び創造協会」理事長で、東京おもちゃ美術館の館長も務める多田千尋さんは、こう説明する。

東京おもちゃ美術館も廃校になった小学校の教室を活用。少子化の影響で学校の統廃合が進み、増えていく廃校をどのように活用するかという課題は各地の自治体が抱えている。おもちゃ美術館を作りたいという自治体からの問い合わせは多く、姉妹館は増え続けている。運営主体は地域によってさまざまだが、美術館の設計やデザインは東京おもちゃ美術館が担当し、指導員の育成も行う。

各地の地域性を重んじるのも特徴で、例えば沖縄県の「やんばる森のおもちゃ美術館」では、鳥類のヤンバルクイナのたまごを模した木工がたくさん入ったプール、リュウキュウマツを使用したトンネルを備えている。

障害者雇用のモデルケースにも

三郷町のおもちゃ美術館の特徴は、清掃や整備などを障害者に担ってもらうことだ。運営主体となる社会福祉法人「檸檬(れもん)会」(和歌山県紀の川市)は全国で保育園やこども園を運営するほか、障害福祉サービス事業も手掛けている。多田理事長は「(障害者雇用は)新たなモデルケースとなる」と期待を込める。

すでに5年4月、檸檬会は隣接地に4年制の福祉型カレッジや通信制高校を開校。障害者が仕事に挑戦できるよう、美術館内にレストランやカフェなどの飲食店を順次オープンする予定だ。

奈良おもちゃ美術館などの運営を担当する社会福祉法人檸檬会のソーシャルインクルージョンヴィレッジ村長の鈴木麻友子さんは「障害者が仕事に誇りを持ち、元気に活躍できる場になれば」と意気込む。

また、子供たちと一緒に遊び、親子のコミュニケーションをサポートする案内人「おもちゃ学芸員」をボランティアが担うのも特徴的。来春のオープンに向け、約150人を育成するとしている。

おもちゃ学芸員を志す同町のウェブデザイナー、大谷あすかさん(29)は1~5歳の3人の子育て中。子供たちとの遊び方を少しでも広げたいと考え、今年6月に開かれた養成講座に参加した。「わくわくしている。学芸員としての活動をきっかけに人間的にも成長したい」と目を輝かせた。(木村郁子)

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