美容医療は「メイクの延長」感覚 機器の向上とSNSが後押しも施術・契約トラブル急増
産経ニュース / 2025年1月26日 12時0分
近年、美容を目的として医療行為を受ける「美容医療」の需要が高まっている。調査会社の推計によると、整形手術を含む美容医療の令和5年の市場規模は4年前と比べ約1・5倍の約5900億円と過去最高を更新した。専門家は「心理的ハードルが下がり、美容医療が化粧の延長くらいの感覚になってきている」と指摘。一方で、手術の失敗や高額請求などのトラブルも急増している。
「美意識高い」くらいの感覚
神戸市中央区の美容皮膚科「神戸元町通クリニック」は、インスタグラムなどの交流サイト(SNS)で施術映像などを公開。閲覧した20代の男女がデート前などに気軽に施術を受けに訪れるという。
同クリニックに通う大阪市北区の飲食店従業員の女性(26)は、美容医療を受けた友人に触発され、超音波を当て顔のたるみをひきあげる「HIFU(ハイフ=高密度焦点式超音波)」を受けた。「施術を受けたと周囲に話しても、『美意識が高い』くらいの感覚で聞いてくれる」とくったくがない。
神戸市灘区の主婦(30)は、美肌効果のある薬剤などを皮膚に直接注入する「水光(すいこう)注射」を受けている。SNS上で若者に影響力を持つインフルエンサーが整形手術を受けているとアピールしているといい、「手頃な価格の施術も多く、抵抗はない」。神戸市中央区の女性会社員(45)も「化粧品の延長のようなもの」と話す。
同クリニックによると、美容医療を受ける患者は年々増加している。気軽に来院し、効果を実感して継続する人も多いといい、皮膚科専門医は「施術を受けてきれいになることで、性格も明るく前向きになれる。生活の質(QOL)も向上するのではないか」と語った。
市場拡大、コロナ禍がきっかけ
かつて美容整形は「人には言えない」といったマイナスイメージが強く、外見にコンプレックスがあったとしても実際に施術を受けるまでに高いハードルがあった。
だが、調査会社「矢野経済研究所」の推計によると、令和元年は4070億円だった整形手術を含む美容医療の市場規模は、4年には5460億円と約34%増加。5年は前年比8・8%増の5940億円に達した。
同研究所は市場拡大の背景について、新型コロナウイルス禍のマスク生活で「目元周りの施術を受けたい」「人との接触が少ない間にしみ・たるみを改善する施術を受けたい」と考える人が増えたと分析。実際に施術を受ける人も多くなり、美容医療を受けることへの「心理的ハードルが下がった」と推測する。
美容医療に対する若者の意識などを調査している関西大の谷本奈穂教授(文化社会学)は、心理的ハードルが低下した理由の一つとして、医療機器の発達を挙げる。
谷本教授は「メスを使わない施術が可能になったことが大きなポイント」と指摘。1990年代に入り、レーザー機器を使った施術や注射、投薬などによる「メスを使わなくてもできる整形(プチ整形)」が可能になった。「(容姿が)激しく変わるのはでなく、少し変化するという感覚も日本人の性に合ったのではないか」と分析する。
さらに90年代後半からインターネットが普及。2010年代以降、美容医療を受けた人がSNSなどで自身の体験を公開するようになり、誰でも情報を入手できるようになった。こうして美容医療は普及し、施術を受ける人が加速度的に増えていったと説明する。
谷本教授は「化粧の延長くらいの気持ちで受ける人が現れている」と指摘。10~20代の若年層ほど、SNSを通じて美容医療に関する情報を自ら収集する傾向にあるといい、「美容医療を受けようとするモチベーションが、SNSを通じて促進されている」とみる。
美容医療を受けたと公表することも「若年層の一部にとってはタブーでもなんでもない」と話した。
痛みや腫れ、高額契約…トラブルも
ただ、トラブルも急増している。
国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた美容医療サービスに関するトラブルの相談件数は、平成30年が1980件だったのに対し、5年度は6281件と3倍以上に増加している。「顔のたるみをとる美容医療を受けたが、痛みと腫れがひかない」「高額な契約をしてしまった」などの相談が多いという。
インターネット上にクリニックや施術に関する情報があふれる中、トラブルを避けるためにどうすればよいのか。神戸元町通クリニックの大本哲也院長は「自分自身で情報を整理することが大切。低価格をうたうクリニックもあるが、価格だけで判断することは避けるべきだ」と指摘。その上で「医師から治療のメリットだけでなく、リスクもきちんと説明されているか、一人一人の悩みや状態を見て治療内容を提案しているかも確認すべきだ」と話した。(高田和彦)
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