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「もっと新聞って、できることある」 休刊惜しむ声に元女性従業員らが新たな情報紙創刊

産経ニュース / 2024年7月17日 8時0分

株式会社「もおか新聞Plus」社長の飯島万裕さん=栃木県真岡市

今年3月で休刊した地域情報紙「真岡新聞」(栃木県真岡市)の元従業員らが新会社を設立し、新たな新聞を創刊した。紙媒体を取り巻く経営環境の厳しさが指摘される中、紙にこだわり事実上の復刊を成し遂げた従業員ら。地域の情報紙を守り、長く安定して読者に新聞を届けたいと、クラウドファンディングも開始した。

突然の休刊に「絶望感」

創刊したのは「もおか新聞Plus」で、発行するのは旧真岡新聞の女性従業員らが中心となって設立した株式会社「もおか新聞Plus」(真岡市荒町)。スタッフ11人(社員7人)のうち8人が女性。社長を務める飯島万裕さん(39)は真岡市で生まれ育ち、「真岡の魅力を発信したい」と旧真岡新聞に入社。営業、記者、カメラマンのほか、人が足りないときは配達などもこなしてきたという。

「新聞の仕事が好きだったので突然の休刊を知らされたときは茫然(ぼうぜん)自失。絶望感しかなかった」。休刊後、多くの読者やクライアントから復刊を望む声が寄せられ、飯島さんは旧真岡新聞時代の仲間と一緒に創刊を目指してきた。

地域に寄り添い、共に成長

新会社設立で最も苦労したのが資金面だ。出資者探しに奔走する一方で、仲間とともに自身も出資。会社設立にこぎつけた。

シングルマザーで小学生と保育園児の娘2人を育てる飯島さん。「復刊をあきらめかけたときもあるが、新聞が好きだった娘たちから『どうにかしてママがやれないの』と励まされ、多くの課題を乗り越えることができた」と振り返る。

「もおか新聞Plus」は旧真岡新聞と同じ無料の地域情報紙として出発。6月21日発行の創刊号はタブロイド判フルカラーの4ページ、紙面では真岡鉄道の無人駅、寺内駅にオープンする駅舎カフェなど地域情報紙ならではの話題を取り上げた。創刊にあたり「地域と寄り添い共に成長する新聞へ~次の40年を目指して~」をスローガンに掲げ、決意を新たに紙面づくりを進めている。

デジタルの時代だからこそ、紙のぬくもりを

創刊号は予想以上の反響だったが、配達員不足で全社員総出で新聞の配達を行い、読者に届けることができたという。

当面週1回、旧真岡新聞と同じ金曜日に基本8ページで3万2千部を発行。真岡市は全戸配布し、エリアの芳賀、益子、市貝、茂木、上三川の各町は役場などの公共施設やコンビニエンスストアなどに置き、自由に持ち帰ってもらう。

紙媒体に加えてWEBも最大限活用し、画像配信なども行う。子育て世代からシニア世代まであらゆる世代に向けた情報発信に取り組んでいくという。

また、新聞を今後も安定して発行するため資金面での協力を求め、クラウドファンディングを7月5日に開始した。配達エリアの特産品などを返礼品にする方向で準備している。

社長の飯島さんは「デジタルの時代だからこそ、紙のぬくもりや、紙を通してみる地域ニュースのすばらしさを感じてくれる人も多い。新聞にはもっとできることがあると信じている。新聞を通して地域に貢献し、地域とともに成長していきたい」と新聞づくりにかける思いを語った。

旧真岡新聞は昭和58年に創刊。真岡市や芳賀地方を中心に無料配布で約6万部を発行したが、経営悪化で3月29日号(2千号)を最後に休刊し、現在破産手続きを進めている。(伊沢利幸)

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